第二十三話 心理

政治だ、経済だ、外交問題に、領土問題、世間を騒がすニュースには事欠きません。はたまた、個人の事でも、仕事や遊び、家族や、友人等々、いろいろあります。

これらには、全て、専門的な知識、技術的な事、高度な理論等々があるのかもしれません。しかし、全てに共通する事がひとつ。それは、全ては人間の営みによるという事です。人間というのは、厄介な生き物で、理屈通りでは無いし、いろんな思惑が絡んでいます。しかも、全体に共通する処も多いですが、違う価値観も少なくありません。それがまた、人間の厄介な処であり、面白い処でもあるのかもしれません。

人間がする事であるならば、何にしても、人間の心理が働きます。理屈を超えた心理ですから、各理論に加えて、心理という作用が大きくなると思います。だから、何を考えるにしろ、知識と理論、技術、加えて心理が必要という事になりますね。そして心の作用の影響はかなり大きい。当たり前ですが。

さて、ヨットを考えても同じで、知識と理論とその実践技術というのがありますが、それを操作するのが人間ですから、その心理という事が重要になります。これ無くして、遊びには成りえない。

真っ直ぐ走っている時、たいした快感を得ない人も居るかもしれませんが、そこに微妙な変化を見つけて、面白さを得る人も居ます。面白さをどうやって手に入れるか? それは一般論としてしか言う事ができません。だから、セーリングの探求をしましょうと言います。しかし、人間の心理は複雑ですから、セーリングの探求というのはマクロ的であり、本当はミクロ的にも考える必要はあると思います。マクロ的にセーリングの探求というテーマには面白さがあると思います。しかし、ミクロ的には、各個人が考える必要があります。

何が面白いのか?セーリングというテーマは共通でありながら、ミクロ的に、個人の面白さはどこにあるのか? 各人が、いろいろ試して、自分なりの面白さの追求というテーマでやるしか方法は無いわけですから、とりあえず、できる事をいろいろやってみましょう。

速いか遅いか、性能が高いか低いか、鋭敏なのか、鈍感なのか、そういう事が問題では無く、自分がどう感じるか、面白いのか? 今やっている事が面白いかどうか? これが最大のテーマであると思います。そのうえで、いろいろセーリングをやってみる事が必要だろうと思います。

他人から見てどう見えるか? それも、自分の心理の中にあるわけですが、でも、本心で、どう考え、どう感じるか? そういう意味では、セーリングはあくまでプライベートな事ですから、個人主義になっても良いのではないかと思います。 でも、日本人は和を持って尊しとなす、ですから、徹底した個人主義には踏み切れない感じがあるのかもしれませんね。

和は大事な日本人のDNAだと思います。ですから、和と個を、どうにかうまく使い分ける事ができれば良いかもしれません。和は個を殺しての和では無く、個を活かして和とする。それぞれが、個性的に遊びながら、全体として調和しているという感じ。 それぞれが個としてのセーリングを探求し、全体として日本人のスタイルを創る? どうかな? 個人それぞれが、面白さを求め、その手法はそれぞれ違うものの、全体としてはセーリングの探求というスタイル?

共通心理という面を言えば、便利さに流れやすい。何は無くとも便利さの魅力は大きいです。確かに、これは発展の証ですから、おおいに利用したいと思います。しかしながら、個人の面白さと天秤にかけて見る必要はあるかと思います。一般的に、便利さは困難を軽減していきますが、ある時点からは、過ぎると面白さを奪いかねない。ここらあたりのさじ加減が微妙ではあるかもしれません。

次へ       目次へ