第六十八話 コードゼロ的ジェネカー

微軽風用のセールとして、コードゼロ的なスピン生地を使ったジェネカーをお薦めしています。これをどのように造るかですが、コードゼロは軽風の上り用のセールです。それは生地の素材と形状から来ています。これをスピン生地で作るというのは、微軽風用として、もっと幅広く使いたいからです。上りから下りまで使いたいからです。

ドラフトを浅めにして、生地を1.5オンスとか強めにして、上りをより多く使う事を考えるというのもあるでしょうし、ドラフトを少し深めにして、生地を0.75オンスとか軽くして、下り側を強調するとかです。どちらも上れるし下れる。でも、どちらを強調するかによっては、こういう違いも出てきます。
あまり突き詰めると、何枚も必要になるので、それでは、このセールを使う本来のイージーハンドリングから離れてしまうので、そんなに厳密に考える必要は無いかと思います。

ある方は、0.75オンスで作られました。元々退屈だった微軽風を何とかしたいというのが意図ですから、軽めにして、それで、上りで使っても、弱い風ですから、そんなにセールにストレスはかからない。下りはもちろんOKです。これで十分に微軽風が面白くなったと言われます。

軽いセールを上りで使って、ストレスがかかりますとセールが伸びてしまいます。それで、最初の意図とは違う走りになります。ですから、生地の選択や形状の選択は難しいかもしれませんが、でも、まあ、気軽に考えて、微軽風でのセールと考えれば、0.75〜1.5オンス程度なら、良いんじゃないでしょうか?

このセールは、レースに使うものではありません。我々が、一般的にセーリングを遊ぶに、その幅を広げて、面白くするのが目的です。ですから、もちろんハンドリングもし易くする事が必要です。
これまでは、メインとジブでした。これでは十分にセーリングが堪能できないので、もう一枚となります。それが昔はスピンでしたが、これはそう簡単には行きません。それで、ジェネカーが出てきました。これはかなり使いやすくなりました。しかし、それでも、なかなか使われない。

そこで、もっとイージーにという事で、ファーリングになります。しかし、それでも、もうひとつ。そういう事で考えたのが、コードゼロ的ファーリングです。もちろん、通常のジェネカーよりは、性能は落ちる。でも、使いやすさという面では、かなり良くなっていると思います。しかも、ジェネカーより上る事もできる。そういう意味で、下り用では無く、微軽風用セールと考えています。

性能は重要なファクターです。しかし、その前に、使いやすさという面が無ければ、今日のクルー不足の中で、楽しむ事を前提に考えた時、この使いやすさが重要になると思います。いつか、もっと進んで、誰かが、もっと良い性能で、もっと使い易いセールというものを考えてくれるかもしれませんが、今の処は、このセールかなと思います。

下りをどうするか? この問題よりも、微軽風を何とかする。この方が先かなと思います。そして、下りにも使えますし。

見方を変えれば、例えば、ジェノアは上り用ですが、十分な風があれば、下りにも使えます。でも、風が十分では無いので、下りには使えない。下りに使える十分な風の時でも、シートの位置はもっと下げたい。この両方を満たす為に、軽いスピン生地なら、風が弱くても開きます。シートの位置をスピンシートと同じ位置に取れば良い。言い方を変えれば、超ライトジェノアのようなもの。もちろん、それより大きくて、軽い。それなら、上りでも下りでも、微軽風専用セールとして使えます。それをファーリングにするわけですから、通常のジブと使い分ける。これでセーリングの幅は広がると思います。

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