第八十七話 ライフスタイルを手に入れる

ヨットを手に入れるというのは、そのヨットがもたらすであろうライフスタイルを手に入れるという事になると思います。速いヨットには、そのライフスタイルがあって、重いヨットにはそのライフスタイルがあります。ヨットによっては、クルーを要するのもあり、必要としないヨットもある。でかいヨット、小さなヨット、便利なヨット、操作を楽しむヨット、いろいろあって、そのもたらすスタイルは千差万別、ですから、そのヨットの様々な面を見て、どんなライフスタイルを創造できるのかを想像する事になります。

デイセーラーのライフスタイルは、セーリングを気軽に堪能できる事。そして、そのデイセーラーにもハイパフォーマンスからレーサーに匹敵するパフォーマンスまでありますから、そのスタイルはまた違ってきます。ここで言うハイパフォーマンスは、一般のレーサークルーザーの性能です。
レーサーのパフォーマンスとは、トップレベルのレーシングヨットのパフォマンスです。そんなヨットをシングルで操船できるとは考えられなかった事です。それが、誰でもできるようになった事は、革命的ではないかと思うぐらいです。

例えば、メルゲス32というレーサーがあります。ちょっと比較してみたいと思います。

 
Melges 32 レーサー                   ESSE 990 デイセーラー/レーサー

全長 9.70m                      全長 9.90m
幅  3.00m                       幅  2.55m
吃水 2.13m                      吃水 2.10m
排水量 1,712kg                   排水量 2,100kg
バラスト   ?                      バラスト   990kg(47%)
メインセール 41.3u                 メインセール 43u
ジブセール  23.6u(105%)            ジブセール 24u(?%)
SADR 46.1                       SADR 41.5

このデータを見ますと、いかにESSE990が迫っているかが解ります。メルゲスはレーサーです。クルーは5人+、ESSE990にしても、レースを本気でするなら、何人か必要でしょう。でも、このヨット、日常セーリングではシングルでも可能とされています。もちろん、強風になったら、シングルは難しいかもしれませんが、多少の腕があれば、レースの走りは無理ですが、楽しむ事はできるかもしれません。

レーサーの性能を強風で乗るのは尋常では無いと思いますが、中風以下なら、シングルも可能。
デイセーラーは基本的に、みんなシングルを可能にし、レースするなら、その時だけはクルーと一緒にという考え方のようです。そんなヨットですから、日常に、ゲストを呼んで、ピクニックセーリングもしようか、という気持ちにもなれます。

さて、ここまで行くのは極端です。ここまでの性能を求める人は少ないでしょう。しかし、これ以下でも、レーサーで無くても、デイセーラー/クルーザーでも、一般ヨットのレーサークルーザー〜クルーザー/レーサーの性能を持っています。そんなヨットをシングルで自由自在に乗れるなら、そんなセーリングなら面白いと思います。もちろん、気軽さをもって。

デイセーラーはそんなライフスタイルです。仕事が終わって、幸運にも仕事場とマリーナが近いなら、アフターワークのセーリングが楽しめます。或は、いつも気軽にセーリングを楽しめます。デイセーラーのオーナーになるということは、スポーツカーのオーナーのようなイメージでしょうか。

今日の一曲 パバロッティ Nessun Dorma 

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