第四十一話 デイセーラーのシングルハンド

シングルハンド用にデザインされたヨットは、恐らく、デイセーラー以外無いのではないかと思います。それまでのヨットは、シングルを可能にする事はあっても、本来はそのようにデザインはされていないと思います。

  アレリオン28のコクピットです。メインシート
  トラベラーはコクピットの後部ですが、シート
  はコクピット中央のポストにリードされ、片手
  で操作する事ができます。トラベラーの中央
  あたりの下(ティラーの上)にバックステー
  アジャスターのシートが出ています。

  ジブシートは通常の両サイドのウィンチに巻
  くのでは無く、キャビン入口の右舷ウィンチ
  の横に黒い物が見えますが、これがスピン
  ロックの回転式カムクリートで、シートをそ
  のまま引けますし、リリースする時はシート
  を上に上げればロック解除で、リリースが
  できます。
  

これが左右舷の両方にあり、どちらからも操作する事ができます。また、ショックコードがありますので、ちょっとティラーを離れる必要がある時はショックコードでティラーを固定。殆どは、舵を握ったままで、操作する事ができます。もちろん、セール操作にはウィンチを使う必要もありません。

通常のヨットの場合、メインシートトラベラーがコクピットにあっても、ジブシートは左右舷のウィンチにリードされ、強風時に大きくヒールしている時、風下側のウィンチ操作を、舵を持ったままでは難しくなります。その点、アレリオンでは、風上側で、ウィンチを使わずに操作が可能です。

クルージングならば、オートパイロットをどんどん使うのですが、セーリングの場合は、できる限り、自分で舵を握っていた方が良いので、できるだけオートパイロットは使わないで済むなら、その方が面白いと思います。

さらに、重心は低く、バラスト比も高いので、腰の強いヨットですから、強風時においても、ほとんど、サイドデッキを海水が洗うような事もありません。
シングルハンドにとっては、操作性と、腰の強さがポイントではないかと思います。

このアレリオン28に限らず、他のモデルでも、また、他のデイセーラーでも、基本的にシングルハンドを想定してデザインされています。

最近のクルージング艇ではラット仕様が多くなりました。それにメインシートもキャビンの上で遠く、オートパイロットを使わずに、セールコントロールをひとりでやるのは難しい。元々、そういう想定ではありません。

シングルハンドで簡単にセーリングを堪能できるというのは、面白いと思うのですが、いかがでしょうか?通常のクルージング艇でも、もうひとり誰かが居ればなんてことは無いのですが、そのもうひとりを常に確保するのは難しい事もあります。それに、自分で舵を握って、そのままシート操作ができるのであれば、その両方の感触を同時に味わう事もできます。

エンジンで出て、ティラーをショックコードで固定して、メインセールを上げ、ジブを開きます。後は、
舵を握って操作するだけです。ウィンチも殆ど使わずに済みます。

今日の一曲 サンタナ Europe

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