第四話 ピュアセーリング

デイセーラーの本質は純粋にセーリングそのものを楽しむ事にあります。キャビンはあるが、シンプルで、狭いし、ちょっとした寛ぎには差し支えないと思いますが、クルージング艇のようには行きません。その代わり、セーリングをもっと純粋に楽しもうというのが根底にあります。

あるアメリカ人は、ワンシーズン、4月〜10月において、94回もセーリングを楽しんだそうです。いずれもデイセーリングとして。それが雑誌の記事になる。これはどういう事か?
それだけ動くヨットは居ないからですね。 平均すると、2.2日に1回はセーリングした事になる。
2日か3日に1回。確かに、多い。

何をそんなに楽しんだのか? ピュアセーリングであります。何も特別な事は無く、ただ純粋にセーリングそのものを楽しんできたら、94回も出していた。微風もあっただろうし、強風もあっただろうと思いますが、様々な状況を、様々なフィーリングとして、純粋にセーリングを捉えた。特別な快走を求めていけば、こんなには出せなかっただろうと思います。何故なら、微軽風と解れば、出せなくなる。恐らく、何も期待せずに、その日のセーリングはどうだろうと思っただけでは無かったか?

快走もあっただろうし、走らない時もあっただろうと思います。でも、それでも、乗り続けてきた魅力は何だったのか?多分、想像ですが、何も求めなかった事ではないかと思います。特定の何かを求めると、そうならない時が強調されます。快走を求めると、快走以外を楽しむ事はできない。すると、多分、こんなに数多くセーリングする事は無かったのではないか?何も求めなかったからこそ、その日のセーリングをその日の状態として、そのまま味わう事ができたのではないか? それもまたセーリングです。

多くの動かないヨット、オーナーを待ちわびているヨットを尻目に、自分のヨットを出す。とっても幸運であると言ってます。

ピュアセーリングは、何も求めないセーリング。ただひたすらその日を味わうセーリング。良いも悪いも無いセーリング。積極的でもあり、受身でもある。別に記録を作る為にしたわけでも無く、結果そうなっただけ。ただ、乗り続けてきただけですね。そこには、希望とか夢とか、そんな事も考えるでも無く、ただ味わってきた。

このヨット、アレリオン28です。微風でジェネカーを使ったかどうかは解りませんが、でも、そのままを受け取って、味わったのではないかと思います。それで良かったのかもしれません。微風があるから強風がある。快走があるからこそ、走らない時もある。いろいろあるのがセーリングですから、何か特定の状況を求めるというのは、片手落ちなのかもしれません。それでは、セーリングの一部しか味わないのかもしれません。風を選択できるのなら、それも良い。しかし、選べないのですから。どんな走りだろうが、それもセーリング。

ピュアセーリングを味わう。年間を通して、そういう姿勢を貫く。どんな感じなんでしょうかね?
我々はいつも何か良いこと、楽しい事、面白い事を想像しては求めます。それはまるで中毒のように。だから、そうでは無い時、その落差にストレスが溜まる。だから、もっと求めます。
でも、もし、何も求めないとするなら? それこそピュアセーリングを味わえるのかもしれません。
そして、もし、そうなったら、上手いとか下手とか、そんな事は問題では無く、それらを超えているのかもしれません。

でも、乗れば必然的にうまくなる。うまくなるという事は、様々な状況で、それなりのセーリングを楽しめる能力という事かもしれません。吹かない時は、吹かない様に、吹く時は吹くように、それぞれのセーリングを、それなりに楽しめるという自分の能力を楽しめるようになる事かもしれません。
何も求めない時、最も気楽に遊ぶ事ができるのかもしれません。それはデイセーリングがもたらす最大の効用かもしれません。

さて、今日の一曲です。今回は、ブルース。有名なB.B.KING。 GUESS WHO 年取っても頑張ってます。前にも書きましたが、興味ない方は無視してください。ヨットには何ら関係ありませんので。
ただ、ちょっと趣向を変えて、音楽も楽しめるというのも、悪くないかな〜?と思っているのですが?

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