第九十一話 最新計器

無くても何とかなりますが、あれば便利で面白い。それが計器です。こういうエレクトロニクスの製品は日進月歩、素早いスピードで進化しています。

一般的な風向風速やスピード、デプス等々以外にも、あれば便利、特にクルージングには便利という装置がたくさん開発されてきました。それらを全部設置するとなると、そんなスペースは無い程。でも、今日では、それがひとつのスクリーンに映し出されるマルチファンクションだそうです。

日本でもお馴染みのレイマリーン社、最近、無線でデータをやりとりするTACK TICKを買収したようですが、それは兎も角、最新のマルチファンクションディスプレーを出しています。7インチスクリーンに、全てのデータを表示できるもの。

  GPS,レーダー等は当然ながら、潮汐データ
  天候のデータ、計器、等々、おまけに
  iPadやiPhoneとも無線でリンクされ、同じ
  スクリーンが見れる。さらに、iphoneに入れた
  音楽をヨットのスピーカーから流せる。
  まあ、ありとあらゆる事が、このスクリーン
  に集約されているそうです。これひとつでOK
  だそうです。もちろん、それに対応するセン
  サー等は必要ですが、兎に角、表示をたくさ
  ん設置する必要が無い。また、これを離れた
  ところでコントロールするリモコンもあります。







このような計器が発達するのは当然の流れです。便利である事には違いない。ただ、これがぶっ壊れたら、全部使えなくなるかもしれないし、そういう事を考えたら使えない。でも、そういう流れになっている。採用するかしないかは自由です。

これは便利極まりないのですが、反面、こういうセンサーが発達してきますと、人間の方はこれに頼りっきりになり、人間のセンサーが衰えてきます。これはどうしようも無い。これから、ますます、熟練の方では無くても、簡単にナビゲーションができて、どこへでも行けるようになります。それは良い事でしょう。ヨットの世界がもっと一般にも広がります。

でも、反面、人間の能力は衰えていくかもしれません。本来、人間の感覚は鍛えれば鋭いものです。計器のセンサーが、ほんのわずかな誤差でもって表示できるのとは違いますが、機械には解らない、曖昧なセンサーかもしれませんが、総合的な感知能力があります。いわゆるマルチファンクションです。自然の中に入ると、それが鋭くなります。でも、これらの計器に頼る事で、それが発揮できなくなる。そういうデメリットはあるでしょうね。感じるところを遊ぶというのもあると思います。

ただ、これらは確かに便利です。採用するかしないかは自由ですが、もし採用しても、これを乗り越えた人間のセンサーの使いどころというものが進化していくかどうかは、その人次第かもしれません。データはデータとしてインプットして、尚且つ自分のセンサーも働かせる?そんな事ができるのか?疑問ではありますが。もっと集中を要するかもしれません。機械のデータは参考程度と考える事ができればではありますが、ちょっと無理でしょうね。これらに取り込まれてしまいそう?

人間が作った物は不完全。必ず、メリット、デメリットがあります。それは仕方ない事です。何かを得たら、何かを失う。進化の行くへは、人間の退化をもたらすのかも?

ヨット遊びは、これらの計器を駆使して、これまでは簡単にできなかった事を簡単にしてしまいます。そういう遊び方もあり、特にクルージングには、これら計器は極めて楽にしてくれます。一方、セーリングはと言いますと、自分の感覚を遊ぶやり方です。感覚優先です。そこをどう使い分けるかが重要かもしれません。そのうち、自分の快感度を示す計器が出てきたりして? 快感度いくつ、とか? 不快指数というのがあるぐらいですから、できるかもしれません。快感度7だから、そうか、楽しいのか? そんな馬鹿な話はありませんが。 でも、スピード計見て、7ノット、8ノット出ていると確認して、おお、速いなと思ったり。それはこれと似ていますね?

数値がどうかの前に、自分の感覚を重視する。遅いのにスピード感があるというヨットがあります。
どこに何時まで行かなくては、という場合以外、数値が何であれ、感覚を楽しめる方が面白いのではと思います。セーリングから感覚を無くしては、面白さは減衰してしまうのではないでしょうか?
ヒール角度は何度、風向風速のデータ、スピードは何ノット、等々数値で全部見れます。でも、数値が面白いのでは無く、感じが面白いのですから。但し、計器反対ではありません。ただ、使い方の問題かと思います。

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