第五十八話 レースいろいろ

これからヨットを始める方の殆どは、レースはしませんです。従って、クルージングとなり、クルージング艇が良いとなります。まるでお決まりコースのようです。

でも、実際にクルージング艇を手に入れて、その動きを見ますとと、なかなか動かなくなる事が多いように見えます。家族や仲間が来る事も最初だけ、半年も過ぎますと、物珍しさはもうありません。そこから、本格的に本当のヨットライフが始まります。

クルージングに行く人は行くし、こんなはずでは無かったという人もおられます。そこで、最初に帰って、考えますと、レースというイメージが問題かもしれません。

レースと言ってもいろいろです。本格レーサーがしのぎを削るレースもあれば、いろんなヨットが楽しみとして参加するレースもあります。ローカルのレースは、我々アマチュアが楽しみとして参加できるイベントですから、レースはしませんという最初の動機は、それほど重視する必要は無い。

遠くにクルージングに行きたいという希望はあっても、日常的には、デイセーリングからこういう気軽なレースを楽しみとして出る事もおおいにヨットライフを充実させる要素になります。ですから、レースを最初から拒否する必要は無いかと思います。

我々業者も悪いですね。どんな乗り方します? クルージング? レース? そんな聞き方すれば、クルージングですと誰もが言います。でも、実際は、クルージングとは違う事もある。

気軽なレースとは言っても、レースはレース。クルージング艇で参加して、まあ、クルージング艇なんだからこんなもんだと思う方もおられれば、やっぱり熱くなる方もおられる。優勝とまでは言わないが、もうちょっと走ってほしいとか。

本格レースにクルージング艇で出る事はありませんが、ローカルのお祭りレースにレーサーが出る事はたまにある。これはちょっとどうかな? ローカルレースはローカルレースとして、楽しみなレースですから、そこにレーサーで参加して、ファーストホームや優勝をかっさらっていくのは、ちょっとどうでしょうか?やっぱり、そういう美酒は、そういうヨットに譲って頂きたい。レーティングだって、いい加減なんですから。

それで、レースもいろいろありますから、我々一般が、楽しめるレースとして、各地で開催されていますから、何もレースを嫌わず、参加してみても良いのではないでしょうか?

という事で、最初にお聞きしたいのは、クルージングとして旅を楽しむか、セーリング自体を楽しむか?これだって、多くの場合は、クルージングという応えでしょうね。

それで、もう一歩踏み込んで、クルージングは船旅ですから、あっちこっちへ向かう旅を楽しむ。近場でセーリングするのとは趣が異なります。それには、時間も必要ですし、どの程度の頻度かも考える必要がある。そういう船旅だけで満足ならそれも良い。でも、頻度が少ないのなら、日常はどうするか?そういう事を考えると、セーリングのスポーツ化とか、ローカルレースへの参加とか?やってみなくちゃ解らない事かもしれませんが、どれを選ぶにしても、そういう事を頭に入れておくのも悪く無いかと思います。

クルージング艇と言ってもいろいろです。やたらとキャビンがでかい、セールの小さなクルージング艇もあれば、そこそこ走るクルージング艇もある。長距離のクルージングを想定しなければ、デイセーラーだったら、もっと速い。両方なら、レーサークルーザーという手もある。そこに何人で操船するかを考えれば、だいたい答えが出てくるかも?

どんなヨットも何でもできます。どんなヨットでも、レースはできる。クルージングはできる。セーリングも出来ます。寝泊りだってできます。でも、それぞれに得意は何という、あるひとつの得意分野があります。それで、その得意以外は、他の艇に譲る。何を得、何を譲るか?

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