第六十二話 レースを盛り上げる要素

様々なスピードポテンシャルを持つヨットでレースが行われます。それを平等にするためにレーティングが設けられますが、でも、ヨットレースの醍醐味と言いますとつばぜり合いのようなシーンではないでしょうか?レーティングはスピードポテンシャルを考慮して、ゴール後に修正して順位を補正するものであります。

ファーストホームでゴールしても、レーティングの関係で修正され、二番手が優勝になる事もあります。そうなると、時間との競争という事になる。迫力のあるつばぜり合いは、なかなかあるものではありません。そもそもヨットのポテンシャルが違うのですから。

ゴルフにもハンデがあります。100を切ったとか、ハンデいくつ? という会話は良く聞きますが、ゴルフがヨットと違うのは、一緒にプレーができるという事です。ハンデが少ない人の方が先に行くわけでも無い。だから一緒に楽しめる。

ヨットはそうはいきません。速いヨットは先に行きます。一緒にスタートしても、差がついてしまって、後は時間との闘い?やっぱり、ワンデザインの方が面白いような気がします。ポテンシャルが一緒なら、つばぜり合いの可能性も高くなります。ヨットのレースは、ヨットデザイナーのレースなのかもしれません。

ところが、このワンデザインレースが日本には定着しません。今後は、そこが何とかなるれば、もっと面白くなるんじゃないかと思うのですが?ワンデザインなら2艇でのマッチレースでも面白いかもしれません。

それに加えて、観客です。どんなスポーツも観客が居る事で盛り上がります。誰も見ていない野球やサッカー、それではプレーヤーの士気にも関わる。でも、ヨットの場合、スタンドから大勢が見るという事はできません。見る為のヨットやボート、いわゆる観覧艇が必要になる。それでは、いっそのこと、自分達の参加艇だけで運営するのでは無く、同時に観覧艇を募集してはどうだろうか?

いついつレースを開催しますという告知はありますが、一緒に観覧したい人も是非参加してくださいというような募集です。観客も一緒にレース運営の中に入れてしまう。プレーヤーと観客でセットで考えます。コースの図でも配って、参加艇の情報やレースの見方とか、みなさんは、ゆっくりレースを楽しんでくださいとか? レース後に、ちょっとした表彰パーティーでもあるのなら、プレーヤーと一緒にやってしまう。レースはプレーヤーと観客で成り立つ。

これは互いの相乗効果もあるかもしれません。クルージング艇のイベントにもなるし、プレーヤーの励みになるし、観客だった人も、次にはプレーヤーになるかもしれません。コースの邪魔にならないようにとか、いろいろ工夫は必要かもしれませんが、もし、うまくいけば、盛り上がりの助けにはなるような気がします。

観客も、ヨット知らないと、どこがどうなってるのか解らないかもしれませんが、でも、ある目的があっての観覧ですから、それはイベントとして面白いかもしれません。各艇のレーティングによるハンデの解りやすい説明なんかがあっても良い。観客も勉強すればもっと面白くなる。これはちょうど、野球のルールを知ったうえで、見るのと同じです。つまり、観客を育てる。

観客が育てば、きっと参加艇も育つんじゃないでしょうか?何事も簡単ではありませんが、一考の価値はあると思います。ですから、レース参加艇募集+観覧艇募集と書いた方が良いのではないでしょうか?もちろん、ボートオーナーも観覧艇には参加できますね。

この際、コースも工夫して、ブイ回りが、いくつかあると、観覧には良いかもしれません。いろんなシーンが見れますからね。レースが今一盛り上がらないとしたら、プレーヤーしか居ないからではないでしょうか?言い方は悪いかもしれませんが、ちょっとショー的な要素を加えられないでししょうかね? プレーヤーの為にも。

これなら、レースに出ないクルージング派も楽しめます。スタート時の攻防を見たり、できればつばぜり合いを見れたらもっと良い。そして、見られている側にとっても良いのではないでしょうか?
レース参加艇数が少なかったとしても、観覧艇が増えるならば、きっと盛り上がるのではないかな~と思うのですが? 盛り上がれば、レース参加組も増えるでしょう。

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