第五十八話 セールサイズ

これまでヨットと言えば、多くの方々がクルージングと言われ、そのクルージング艇には、メインセールとファーリングのジェノアが普通でした。ジェノアはだいたい130%とか140%とか、そんなのが普通でした。

そして今日、状況は変わりつつあると思います。年齢も重ねたし、クルーも不足している。ならば、状況の変化に対して、乗り方も変えた方が良いと思います。つまり、ジェノアはやめて、小さなジブセールにする。セルフタッキングか110%程度です。それなら、タッキングは随分楽になります。
シートを引くウィンチにしても楽になります。

その代わり、メインセールの方をでかくする。メインセールはジブセールよりもコントロールの自由度が高いですから、セーリングを遊ぶには、ジブよりメインの方が遊べます。

とは言っても、今あるヨットのメインを大きくはできませんので、次回にもし買い替えるとか、或いは、今検討しているとかであれば、そういう事も考慮されたらどうでしょうか?

そのヨットで日常のセーリングを楽しみ、クルージングに使うにしても、従来、エンジンを使ってきたわけですから、全然問題ありませんし、唯一、微軽風時に、大きなジェノアがほしいと思われるかもしれませんが、また、強風時は、大きなセールをファーリングで巻けば良いかと考えるかもしれませんが、ジェノアはコントロールの自由度が少ないし、本来、ファーリングは収納装置であり、リーフ用ではありませんので、巻いたら、さらに自由度が少なくなります。

巻くと、ラフのテンションが無くなり、ドラフトは後退します。リードブロックも前に移動させなばならない。移動目的ならあまり気にならないかもしれませんが、セーリングを楽しむという面では、できれば、ちゃんとコントロールできた方が良いと思います。それに、大きなジェノアは結構大変です。クルーさえ居れば問題は無いかもしれませんが、今日の状況では難しい。

そこで、大きなメインと小さなジブ。それでそこそこ走れるハイパフォーマンスのクルージング艇。
そういうのが、今後は面白いのではないかと思います。それなら、日常にデイセーリングを楽しみ、クルージングも楽しめます。

もちろん、求めればきりがない。従来のクルージング艇で、110%ジブとかでも良いかと思います。強風になっても、ファーリングで巻く必要が無いかもしれません。では、微軽風では?と考えますが、これもきりがない。そのセールが150%になっても、どれだけ違うのか? セールの重みもありますし。考え方次第です。オールマイティーはありませんので、110%がどんな場合でも良いわけではありませんし、150%が良いわけでもありません。でも、どこかで妥協は必要になります。

でも、昨今の諸事情を考えて、小さなジブは良いと思います。これは、従来、130%あたりが常識的に使ってきた為で、何らかの根拠があったとは思えません。クルーが居ない時代、高齢にもなってきた、ならば、より気楽に遊べる仕様というのも一考ではないかと考えます。タッキングのウィンチ巻きが楽になるだけでも、結構良いのではないでしょうか?

セーリングをもっとという事であれば、通常のダクロンでは無く、もうちょっと良いセールを使っても違ってきます。それも一考に値するかと思います。

クルージングにはダクロンのクロスカットというのが一般的です。最も安いからですが、セールの力はすごいものがあります。走る原動力ですから、そこにちょいと良いセールをはつけると違ってきます。セールの大きさばかりが全てでは無いと思います。

兎に角、従来の常識的使い方に捉われる事無く、今後の使い方、諸事情を考えて、艤装を考えていくというのも悪く無いと思います。

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