第九十五話 成人式

本日は成人式です。考えてみますと、彼らが生まれた20年前はバブルが崩壊後です。つまり彼らが生まれて、ずっと不景気、景気が良かった時を知りません。ですから、当たり前の不景気ということになります。一方、我々は高度経済成長も知ってますし、オイルショック、バブル経済、その後の不況も知っています。良い時を知っていますから、それが忘れられません。

我々が過ごした時代と、現代の若者が過ごした時代は違いますね。人口増加と景気拡大の時代を過ごした我々にとって、何か夢を持つなどは想像しやすかった。あこがれの職業なんかもあったわけです。 しかし、今日では、昔は花形の職業だったのが、変わってきています。

パイロットはリストラされ、医者は医療ミスで訴えられ、大企業に就職できたとしても安心はできない。とは言っても、生まれた時から非常に便利な生活があったわけですから、それもで良いか、と
なりがちです。草食系とか言う言葉が流行り、ワイルドさは失われてきています。

お正月にはいろんなスポーツが行われ、それらを見ていますと、現代の若者にもワイルドに頑張っている子も居ます。箱根駅伝なんかを見ていますと、そんなエネルギーを感じます。ゴルフ界、野球界にもそういう若者があふれている。つまりは、ここにも格差があるのではないか?一般草食系と肉食系と。もちろん、後者の方が少数です。

どこにも安心できる場所はない。終身雇用制で守られるわけでもない。そんな時代であります。だから、自然と守りの態勢に入る。そして一部の若者は、それでも何とかしようという者も居るが一般的ではありません。

それで、マスコミや、いろんな評論家等が若者に夢を描きなさいとか言いますが、どんな夢を描いていいのかわからない。会社の社長? 会社はどこも疲弊していて、リストラばかり、金もうけだけを夢に描くのもしっくり来ない。それに個人主義が行き過ぎたのか、自分の欲望さえ満たせば良いという風潮もあるような。

若者に夢を描きなさいと言って、はい解りましたとなるなら、簡単な事。しかし、どんな夢を?しかし、考えようによってはチャンスでもありますね。みんな保守的ですから、ちょっと頑張れば抜きんでる事ができるかも。昔は、みんな頑張っていたんですから、ちょっと頑張るぐらいじゃどうにもならなかったのが、今は、考えようによってはチャンスという見方も成り立つ。

こういう時代ですから、ヨットやろうなんて若者が少ないのは当然のこと。ヨットはだいたいしんどいのですから。しんどい事やって、その先にある面白さを得ようというワイルドさは無い。時代は変わります。意識も変わります。

そこで、ヨットをワイルドな捉え方を変えて、知的なゲームとしてとらえる。現代の若者は、頭は良いですから、そこに若者が魅力を感じるなんてことは無いだろうか?頑張って、頑張って、いつかは何者かになるというより、知的ゲームを楽しんで、気が付いたら、何者かになっていた? そんな事は無いでしょうか? 人生もヨットも、知的ゲームを楽しむように、そうすると、また何か違う何かが生まれてこないか?

その為には、我々、中高年齢層が手本を示す必要があります。我々がそのゲームを楽しむ事です。ヨットを知的ゲームとして、遊んでみてはいかがでしょうか?と、こういう結論に無理やりひっぱってみました。知性というのは人間に与えられた能力ですから、これは時代に拘わらず、知性を刺激する事は人間にとって面白さになると思います。良く観察し、理論的に考え、それを駆使するゲーム。そこにプラス感じる何かが生まれてきます。それが楽しみ、面白さになるかな〜。人間は知的動物でありますから、その部分と感性という部分の基本的なところを考え直しても良いのかなという気がします。

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