第六話  ニュースタイル

今度のモナコのボートショーに、100フィートのスーパーヨットが出品されるそうです。曰く、20ノットを心地良く走る事ができるそうです。そして、コンセプトは何とデイセーラーなのです。

何故、そんなでかいヨットがデイセーラーなのか?多分、このでかいヨットで、どこか遠くを目指すなんて事考えて居ない。兎に角、ハイパフォーマンスを少人数で楽しむという考え方ではなかろうか?

ハイパフォーマンスはレーサー?というのは、もう古い。レーサーはレーティングに縛られます。何にも縛られないヨットで、それでいて速いヨット、しかも、少人数か、ヨットによってはシングルでも容易に走る事ができる。

デイセーラーと称する事によって、いろんなしばりが無くなるわけです。それでも、レースしたい人は同じモデル同士のワンデザインレースという方法もある。そんな考え方が進んでいるのではなかろうか?レースしなくても、そのヨットならではのセールフィーリングを、しかもハイパフォーマンスを、簡単に味わう事ができる。

レースしようがしまいが、セーリングを楽しむというコンセプトがデイセーラー。そして、きっと誰かが、それならいっそうの事、もっともっと性能を高めてやろうと思ったに違いない。セーリング性能はレーサーの専売特許ではありません。

誰でも、簡単に操作して、それも高い帆走性能を味わえるのなら、その方がきっと面白いに違いない。もし、ロングの旅に出たいというのでなければ、きっとその方が面白い。

そういう事で、デイセーラージャンルには、次々と高性能ヨットが生み出されています。

デイセーラーはハイパフォーマンス。しかし、セーリングを遊ぶのは、それだけではありません。やはり、ありとあらゆる部分にフィーリングをを味わい、速さだけが全てでもありません。柔らかい感触、滑らかさ、反応の良さ、無理にキャビンを作らないから、そのデザインの美しさも出せる。モダンからクラシックスタイルまで、各個人のセーリングの好みを作ることができる。

レーサーはレーシングカー、クルージング艇はキャンピングカー、そしてデイセーラーは、セダンからスポーツカーをカバーする。そんな感じがします。どれが良いとは言いません。個人の好みですから。でも、個人的には、デイセーラーに最も自由度を感じます。美しさも感じます。機能美も感じます。そして、操作が簡単なのですから。いや、簡単操作でも走れるし、繊細な操作をすれば、そういう走り方もするという、帆走に関してはキャパシティーが広い。広くないのはキャビンです。

このセーリングの世界は、どういうわけか、とっても新しいジャンルです。もっともっと、これから広がるジャンルだと確信しています。

そういえば、イタリアのBヨット、新しい52フィートのデイセーラーをデビューさせました。デイセーラーに52フィートが必要なのか? そういう疑問も湧くかもしれません。でも、それだけ速いのです。
しかも、楽々操作なら、良いんじゃないでしょうか?

アレリオンにも33フィートモデルに、もっと速いタイプが出来ました。シングルで操作が簡単なのです。デイセーラーの世界はこれから実に面白くなりそうな気がします。

という事で、ここらで、レースとスポーツは分けて考えたい。スポーツはスポーツ。それもデイセーラーのスポーツ。シングルでも簡単に遊べるスポーツ。従来のレース志向とは違います。ぱっと出して、スイスイ走り回る感じです。高性能セダンやスポーツカーの感じです。誰でも、高性能を楽に味わえる。これがこれからのニュースタイルです。

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