第三十八話 ドキドキ

何かに魅かれるとドキドキ、ワクワクします。そんな高揚感を感じた時は、面白いです。それが無いというのは、興味が何に対しても薄れてきていますから、あまり面白くはありません。

我々は肉体を維持する為に、食事をしますが、大事な心を維持する為には、この高揚感を時々は注入してやると良いかもしれません。美しい物を見たら、ドキッとします。紅葉、雪景色、絶景、美しい女性を見てもドキッとします。美しいヨットもドキッとさせられます。

見た目だけでは無く、美しい音楽もそうですし、良い香り、良い手触り、そういう感覚から入ってくる刺激に、時としてドキッとさせられてしまいます。それは心が刺激を受けた。良い刺激を受けた。そういう事だと思います。

この刺激は、肉体的行動による、肉体全体への刺激もあります。いろんな刺激を受けて、いろんな感じを得ますが、その刺激が多い方が、より感動となると思いますね。

音楽を聞きます。これも刺激ですが、加えて、DVDならその歌手なりの歌っている姿も見えます。音楽だけなら耳だけの刺激ですが、同時に映像も見れると、目にも刺激を受けている。その方がより感動は強くなる。ドラマの中で流れる曲がヒットするのも、映像が影響しているのでしょうね。

ヨットに行きますと、その美し姿が見えます。セーリングしますと、体が刺激を受けます。耳は風の音を聴き、鼻は潮の臭い、目は波を見て、走り具合を見る。つまり、いろんな部分が、強弱はあれ、刺激を受けます。刺激が弱いと、頭脳はあまりドキドキ感を創りませんが、強すぎると、恐怖感を創ったりもします。そこに、自分の操作で調整を図って、バランスを創り出す。そこに集中していますと、ドキドキ感が出てくる。

セーリングは体全部の感覚器官に対して、いろんな刺激を与えます。だから、面白いんでしょうね。だから、エキサイティングにもなる。しかも、ただ乗っているだけでは無く、自分の操作が加わる事によって、刺激を変化させる事ができます。それはもうひとつのドキドキ感を生み出す。こういう遊びはそうそうあるものではありません。

ヨットは乗って遊ぶものですが、こういう感覚への刺激という点で見ますと、また違った様相が見えてきます。しかも、目で見た物、すべてを見ているわけでは無く、選んで見ている。耳に入る音全部を聞いているわけでは無く、選んで聴いてます。それは、その時々の心の有り様によって選んでいる。つまり、自分の感じを意識してみると、何かがあるような。

周囲を観察します。目でだけでは無く、耳でも、鼻でも、感触でも観察します。それに対して、自分の感じ方も観察します。観察には鋭い観察力が必要になり、その為には集中力が必要になる。長い時間、連続して集中する事は無理にしても、短い時間でも、すべての感覚が鋭くなりますと、ドキッとさせられます。大きな刺激だけでは無く、小さな刺激にも気づきます。時にドキッとさせられます。

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