第七十九話 セーリングはフィーリング

セーリングはフィーリングを大事にする乗り方です。具体的な目標がありません。旅のように、どこかに行く目的地がありません。ですから、解りにくいかもしれませんが、でも、そこにこそ、最高に楽しむ方法があると思います。目標が無いからこそ本当に楽しむ事ができる。

前に書きました通り、方向性を決めます。シングルで自由自在のセーリングとかです。これは目標のようであり、でも何ら具体性はありません。どうなったら自由自在なのか、何にも具体的では無い。自分でそう思う方向性だけです。そして、終わりが無い。終わりが無いものは方向のみです。

方向だけですから、永遠に進むのみです。そうなりますと、重要になるのは、その過程の瞬間瞬間です。過程ですから、その瞬間の味わい、フィーリングが重要になります。ですから、セーリングはフィーリング重視の乗り方です。

そしてこれはデイセーリングが得意とする乗り方です。今日のフィーリング、明日のフィーリングと積み重ねていきます。方向は自由自在のセーリングですから、学びもするし、試行錯誤もする。合間にピクニックしたり、デートセーリングしたりもします。家族と楽しんだり、オーバーナイトセーリングもします。

フィーリング重視ですから、いろんな感触も大事です。何ができる、便利である、それよりどんな感じかの方を重視します。フィーリングを大事にすると、そこに面白さが湧いてきます。面白さとは感じる事ですから。そこにストレートに響いてきます。

目標点があると人は頑張る事ができます。しかし、頑張るとフィーリングというプロセスが疎かになります。それは各人の自由なのですが、私としては、目標点よりプロセスを重視したいと思っています。どれだけ達成してきたかよりも、どれだけのフィーリングを得てきたか。目標点を重視すればするほど、プロセスは犠牲にされ、目標点が無いと面白く無いのでは無く、プロセスが浮かび上がる。最後の結果は終わる時で良い。それがどうなってるかも面白いかもしれません。

フィーリング重視のセーリングをしましょう。デイセーリングしましょう。もっと感じましょう。もっとそれを意識しましょう。全てはプロセスなのですから、結果は結果に見えて、本当はプロセスなのですから。成し遂げたと思っても続くわけですから、その瞬間のフィーリングが大事です。

昔、山登りをした時、何日もかかって頂上に到着すれば、達成感があります。この山に登った事があるぞと言えます。でも、最も記憶している事は、その時の何とも言えないフィーリングです。最後に残るのは、これら多くの味わいではなかろうか?

登山家は、記録への挑戦という方もおられますが、多くの場合は、またあのフィーリングを味わいたいから登るという事ではないかな〜と思います。

ですから、旅をするにしても、到着するまでのフィーリング、到着した時のフィーリング、そしてこれも終わりでは無く、フィーリング重視にする事によって、長いプロセスを楽しむ事ができる。でも、目標がありますと、つい忘れてしまい完結したと思ってしまう。でも、次の日もやってくる。

そこいきますとセーリングには目的地がありませんから、純粋にフィーリングを味わうにはもってこいのやり方です。曖昧で解りにくいかもしれませんが、でも、もしそこに面白味を見出したなら、きっと退屈することは無いのではないか?仮に無風であっても、全体の一部、プロセスの瞬間と見る事ができる。こんな日もあると、さらりと言えるかもしれません。

セーリングを通して、あらゆるフィーリングを楽しみましょう。

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