第四話 知的アプローチ

面白さを得る為には一歩踏む出すしかない。楽しい事だけを追いかけても、長続きしないし、物足りない。どうせやるなら、何か面白さを得たい。それはみんなが思う事でしょう。それで、旅をしたりレースをしたり。でも、ここでは、第三の道をお奨めします。レースも旅でも無い、それらをしないという意味では無く、主たる乗り方、使い方としての第三の道です。

体力よりも知力を使う。そして、その結果から、フィーリングという味わいを得る。高齢化社会はヨット界も同じです。体力は昔のようには行きません。しかも、今後、体力増強どころか下降の方向にあるわけです。でも、その代わり知力はあります。体力面はほどほどに、でも頭脳を少し刺激してみましょう。肉体的なチャンレンジは難しいかもしれませんが、知的チャレンジはできる。それに、面白いと感じるのは心、それなら、直接、頭脳と心を刺激してみるのが手っ取り早い。

ピクニック的に、奥さんを乗せて走るセーリングも楽しいものです。しかし、そこに、ちょっと頭脳ゲームを加えます。それが面白さを生み出すかと思います。何気ないセーリングから、自分の意図を持つセーリングへと押し上げてみる事で、頭脳ゲームができますね。簡単にできて、でも、深いセーリングへと発展させる事ができます。

舵を握って、ジブシートとメインシートさえ操作をすればセーリングができます。動かす程度なら、それでも良い。簡単に、誰でもできるようになります。そんなセーリングでもグッドフィーリングを得る事もあります。しかし、それは釣りで言うなら、向こう合わせの釣り、魚が知らない間に勝ってに食いついてきたようなものです。という事は、滅多には無いという事です。

どんなセーリングをするか、いかに走らせるかを意図してやろうという事です。走っているヨットに乗るのでは無く、乗っているヨットを走らせようという事、いかにを問うと、いろんな知識が必要になり、学ばねばなりません。でも、それが面白さのひとつでもあります。知らなかったことを知る事、なる程、そうかと解るのが面白さのひとつでもあります。

ですから、意図するセーリング、知的セーリングは学ぶ事が伴います。学んで、実践して、その結果をフィーリングとして味わう。そのプロセスには、観察力を使い、集中力も使う。どうでしょうか?面白そうだと感じませんか?

それらを、目の前の海域でやります。遠くに行く必要は無い。2時間か3時間あったらできます。ですから、気楽です。途中、強風が過ぎるようでしたら、すぐに帰る事もできます。そんなお気楽なセーリングでありながら、奥は実に深い。セーリングの全てを味わう事もできます。ですから、本当は、最も流行る使い方になって良いと思うのですが、現実は残念ながら少ない。何故か?多分、これらはみんな目に見えないからでしょう。

どこかに旅をすれば目で見える。レースに参加すれば結果は見える。でも、セーリング自体は頭脳の中でゲームをして、心で感じます。ですから目に見える結果は何も無い。でも、頭脳と心に積もる多くの経験は、自分の中にあります。そして、それは、いつかは、目に見えるものとして、自由自在として、その動きが見えるようになる。

ですから、セーリングで自由自在を目指して、頭脳と心を刺激しながら、これからの10年を遊んでみるというのはいかがでしょうか?もちろん、クルージングしても良いし、ピクニックしても、レースをしても良い。でも、主たる使い方はセーリングです。今後、そういう事をメインテーマに、しばらく書いていこうかなと思います。これまでに書いた事と重複もするでしょうが、できるだけ新しいアプローチを心がけたいと思います。

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