第六十話 ディズニーランド

最高のエンターテインメントとして、子供はおろか大人にも人気があります。ここに行けば、誰もが楽しい時間を持てる。その人気は、そのエンターテインメント性にあると思います。行けば、接待してくれるのです。誰でも。

旅行に行くのでも、パックツアーなら、ホテルの手配から、食事、観光まで全部面倒見てくれますから、こんな楽な事はありません。接待される遊びというは、とっても楽なのです。

野球観戦、映画、コンサート、歌舞伎、キャバクラ等々、みんな接待される側ですから、楽しくて、楽で、ですから皆さん気楽に出かける事ができます。

ところが、ヨットなんかしようもんなら、そうは行きません。自分で何でもしなければならない。誰も接待してくれはしません。ですから、大変なのです。もし、誰かが全てを準備して、接待してくれるなら、もっとヨットは動いているでしょう。マリーナに行くだけで、動かすのも誰かがやってくれる。自分で舵を握りたい時だけ、そうする事ができる。食事も音楽も全て準備してくれる。望む事は何でもです。帰りも、何もしないでさっと帰る事ができる、。片付けも全部やってくれる。これはチャーターヨットですね。ですから、欧米ではチャーターヨットが流行る。

もう20年も前に聞いた事ですが、スーパーヨットのチャーターで1週間の費用が2000数百万の費用がかかるとか。それがずっと予約で一杯と聞いた事があります。接待されるのなら、こんなにも支払う人がたくさん居る。

我々はそうはいきません。自分で全部やらなければならない。そういう面において根本的に違います。ですから、本当は、誰でも、お金さえあればできるというものでは無いようです。クルーを雇えば別でしょうが。

しかし、ヨットはそういう世界です。自分で積極的に動かなければ楽しむ事はできない。自主性の無いところに、面白さは生まれない。全ては自分自身にかかっている事になります。ディズニーランドで遊ぶのとは訳が違う。

ヨットで遊ぶというのは、自主的に計画し、腕を上げて、上達し、冒険を楽しむ世界です。そういう遊びだという事を、ディズニーランドとは違うという事を解っていなければなりません。そして、乗せてもらうより乗る方が面白いという事も理解しておく必要がある。乗せてもらうのも、ディズニーランドも楽しいですが、自主性は楽しさだけでは無く、そのもっと先の面白さがある。大変さを受け入れると面白さが出てくる。そこは大きな違いかと思います。

ですから、ヨットは楽しさだけでは無く、面白さを求めるかどうかにかかっている。トータルで考えますと、ヨットは決して楽しいものでは無いように思えます。いろんな事があるからです。しかし、求めれば面白いものです。楽しさをもっと越えたものです。

一旦、この面白さを得たならば、遊びの次元が違ってくる。ヨット遊びとはそういうものですから、誰でもできる事では無い。自主性が無い人には遊べないのではないかと思います。楽したいのなら、ヨットなんかしない方が良い。楽しさだけならしない方が良い。ヨットやる人というのは、そのもっと先の面白さを得ようとする人ではないかと思います。そうじゃないと、あの緊張感を楽しむ事はできない。

誰が好き好んで、あの不安定な海に出るでしょうか?船体は傾き、危険もある。そんな世界に出ようとする事自体、ディズニーランドとははなっから世界が違う。得にくい事は、それだけに高い満足感を得られる可能性もある。そういうもんだと思います。

ですから、ディズニーランドにはより多くの人が集まり、ヨット遊びには少ない人しか集まらない。当然です。ヨットにはディズニーランドでは得がたい面白さがあります。そう思って遊ぶ必要がある。観覧車は無いけれど、エンターテインメントは無いけれど、それ以上の面白さを得られる可能性がある。まあ、宝さがしみたいなもんでしょうか?その宝を発見した時、この上ないフィーリングを得た時、我々の満足度は急上昇。でも、もっと乗り込むと、そんな時は稀である事も解る。そうすると、次には、あらゆるフィーリングを味わう事に面白さを得る事を学ぶ。すると、ディズニーランドに行かなくても楽しさを得る事ができる。否、もはや楽しいか楽しく無いかという次元では見て居無い。味わいの世界。 ? どうでしょうか?

たとえは悪いかもしれませんが、お金払って風俗に行くのと、誰かを口説き落とすのとの違い?
そして、一流になると、誰とでもそれなりに遊ぶ事ができる?下品なたとえで済みません。でも、我々は一流のプレーボーイを目指した方が良い。遊びの達人です。ある意味、卓越した人です。
デイセーリングをするか、クルージングをするか等々の問題の前に、我々は遊びの達人を目指した方が良い。

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