第五十一話 桜 

いよいよ桜の季節、暖かくなってきました。関東では先日は夏の陽気だったようで、確かに、最近の気象は異常なのでしょうか?でも、まあ、うまくできてると言いましょうか、毎年同じ頃にちゃんと季節は回り、桜も咲いてくれます。開花予測なんかも出まして、日本人にとっては桜は特別な花。

我々日本人にとっては、全てはここから始まるのかもしれません。桜が咲き、年度が替わり、卒業、入学、入社、日本人のエネルギーはここからスタートします。まずは花見から始まって、全てがスタート、ヨットの整備をして、今シーズンのセーリングがまた始まり始まり。

今年はどんなセーリングをするか?そんな事を考えても良いかと思います。今年は、こういうセーリングを中心にとか考えてもいいかと思います。昨年はあまり乗れなかったと言う方々も多いと思いますが、そのままですと、今年もあまり乗れないかもしれません。そうならないように、何か計画的な事を、どういう載り方をするかを考えておくのも良いかと思います。

桜は満開になって、とても美しい。でも、さっと散って、ほんのわずかな期間に全力を出し切って、散っていくように思えます。そんな潔さが日本人の心に響くのかもしれません。メリハリが非常についてます。ですから、桜の花がいっそう美しく感じられる。

今シーズン、思いっきりセーリングを楽しんで、オフシーズンとのメリハリをつける。するとシーズンの終わりには、きっとまた違う感じで終えるかと思います。走る時は思いっきり、ピクニックの時はそれなりに、ひとりの時、家族の時、仲間の時、レースの時、その時々で、その場を思いっきり過ごせると、そこに良い事ばかりでは無く、いろんな事があると思いますが、充実したシーズンになるかと思いますので、是非、そういう意識をもたれたら良いかと思います。

日本は季節がはっきりしていますから、それが面白さでもあると思います。季節の無いような所で
オールシーズン乗れるというのは、一見良いようで、考えようによってはメリハリが無く、だらりとしてしまいがち。羨ましいようで、逆に、季節を感じられる日本はメリハリがあって、いろんなバリエーションを楽しめる。そういう意味では、日本の季節は良い。

春のセーリング、夏は暑すぎて、ちょいと一休み、それから秋のセーリングは最高です。冬はピリッと冷たい空気が引き締まる。それぞれの季節を感じながら、今年も是非、セールフィーリングを楽しんで頂きたいと思います。ヨットは行為として、何をしたというのが重要視されますが、年間を通して、ヨットを通じて、どんな感じを得てきたか、そういう事を意識しますと、それは充実度に関わると思います。何をしたかも重要でしょうが、何を感じてきたかはもっと重要だと思います。

考える事は自由に考える事ができるのですが、感じる事は我々の自由にはなりません。これって不思議な事であります。自分自身の感じなのに、自分の自由にならないのですから。人は考えて、その考えで行為を成す事ができますが、どう感じるかは別な事になります。そして、その感じる事が我々の楽しさ、面白さ、充実感になっていく。考えて行動して、計画通りになっても、それで充実するかどうかは解りません。感じこそが最も重要です。

という事は、考えて、計画通りに計画する事よりも、それでどう感じたかが重要なのですから、そしてその感じをコントロールできないのですから、それなら、どういう時にどういう感じを得たかを意識していく事こそが、今後の過ごし方におおいに役に立つのではないかと思います。

極端な言い方をすれば、どこに行くか、何をするかが重要なのでは無く、何を感じているかが最も重要という事になります。コントロールできないフィーリングに頼っている事になります。それは行為だけでは無く、様々な条件がからむわけですが、それらも含めて、いつも自分のフィーリングを大切にするのが良いかと思います。

あるアレリオンのオーナーからお電話を頂きました。チークのニス塗装が良くなかったとお叱りを受けました。これは反省しなければなりません。この話の他、アレリオンセーリングにエクスタシーさえ感じるというお話も頂きました。これはとっても嬉しいお話でした。特別な事は何もしなくても、日常のセーリングから、最高のフィーリングが得られるならこれにこした事は無い。これぞセーリング。是非、GOOD FEELINGを得て頂きたいと思います。シーズンの始まりです。取りあえず、桜の花見でもして、今年のスタートです。

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