第99話 MADE IN AMERICA

一般の日本人の認識では、アメリカ製というだけで造りが雑という印象を持っておられる方
が多いようです。これはどうか、私の認識はちょっと違います。アメリカという国は俗に言わ
れる人種の坩堝、実に様々な人達が一緒に暮らしています。その価値観も様々ですし、暮
らしぶりも千差万別、つまり、たくさんの異なる人々が住んでいるのがアメリカです。それで
アメリカの産業界はすごく安い、それこそ粗雑な物もあれば、凄い高級品もある。つまり、
様々な需要に対する幅の広い供給がある。そう見ています。

昔、車の中にコカコーラのビンが入っていたとか、ドライバーがあった等聞く事がありますが、
同時に彼らは、ロケットを宇宙に送りこんでいた。ヨットの世界では、ご存知ヒンクリーやアル
デンヨット社という造船所がありますが、彼らのヨットは100年経っても尚美しいヨットを建造
します。さらに、職人も親子3世代に渡り、同じ造船所の職人として働いていたり、その造り
は素晴らしい。全ては、仕事をしている職人の質、そして、どういうレベルの職人を雇うかと
いう会社のコンセプト、同時に、どういう層に顧客を求めているかが全てを決める。

アメリカ製イコール雑では無く、イコール幅の広い供給と言った方が妥当ではないかと思うの
ですが、いかがでしょうか。それに、価値観の違いで、ヨーロッパとは少し違います。アメリカ
は合理性を重んじ、ヨーロッパではデザインを重んじているような気がします。どちらが良いと
いう問題では無く、価値観の違いだと思うのです。

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