第93話 リスク

我々は生きている限りリスクを取らねばなりません。例え、家の中に居ても100%安全とは
言いきれない。まして、一歩外に出ればリスクは増えてくる。そのリスクをどう対処するかが
問題です。

最近の車は本当に壊れない。この壊れないという感覚と同じ感覚でヨットやボートに載る方々
が多いのは問題です。壊れないと思っている。形あるものは壊れるのが当たり前です。頭では
解っているつもりでも、だからと言って整備には無頓着な方が多いのです。解らない、素人だ
と言って逃げる。業者まかせにする。これもいけません。

海に出ると素人だろうが、プロだろうが、同じ条件でクルージングすることになります。素人だか
らやさしい海というのは無いのです。知るという事が大切です。自分で自分の身を守るという自
己責任の心構えを持たなければなりません。

考えてもみてください。車はギヤが4速、5速もあり、日本中どこいっても舗装された道路、一方
海は潮風は機械に負担をかけ、波は凸凹道、いやもっとひどい時もある。おまけにエンジンは
1速か2速でいつも高回転、こんな悪条件でいつも走っている。おまけにほんのたまにしか動か
ない。毎日乗ってる車とは全く条件が違うのです。そのうえ整備しないときたひにゃ壊れてあたり
まえではないですか。こういう条件にも拘わらず、不安定な海で出るのですから、日頃の整備が
いかに大切であるか、快適なヨットライフをおくには知る事がいかに大切であるかを認識するのが
当然です。

機械のリスクに天候のリスクもある。天候を良く調べるのもリスクを軽減する大切な方法です。
しかし、どんなに整備をしても、どんなに天候を調べても、リスクは無くならない。常にリスクはある
エンジンが止まったらどう対応するのか、簡単に修理できるのか、素人でも最低限の事は知って
おいた方が自分の為になる。決して、難しい事では無いのです。業者に任せているから大丈夫な
んて思うのは大間違いです。自分で知る事。まさかの時に対応できる手段をより多く持つ事は意味
のあることです。業者にどんどん聞いて、本読んで、経験して知識を増やしましょう。意外と簡単な
事ばかりなのです。

ただ、あまりにも神経質になるのもいけませんね。完全にリスクが無いものは面白くもなんとも無い
のです。ただ、あるリスクを自己責任で対応できるようにする。この方が楽しいのです。ヨットはセール
がありますから、エンジンが止まったら、セールで帰れる。そう思っておけば、万一の時パニックには
ならなくて済む。そう思えば落ち着いてエンジンの故障原因について考える事ができる。だいたい
燃料系統か冷却水系統の故障が多いようですね。

リスクを自分でコントロールしながら遊ぶ。実に大人の遊びなのです。

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