第60話 大きなヨット、小さなヨット

サイズが大きかろうが、小さかろうが、シングル又はせいぜいダブルハンドを推奨しておりますが、
先日、長崎の九十九島をヨットで少し回る機会を得ました。ここは、名前の通り、島が多く点在して
おり、複雑な地形がなかなか面白く、こういうクルージングスタイルもあるものだと思った次第です。

島巡りであっちによったり、こっちによったり、自由自在に動き回るにはやはり小型サイズがピッタリ
ここに大型を持ってくるにはちょっと苦しいですね。シングルハンドの小型艇で、自由自在に島々を
走り回るのも、これはとてもエキサイティングなセーリングのひとつだなと思いました。

ロングを走るなら、それは大きな方が楽、ショートコースをあっちこっち寄りながら行くなら小型艇、
それぞれに合ったヨットサイズというものがあります。そして、両方をひとつでまかなうなら、どこか
の部分は多少我慢しないといけません。それに、気持ちの問題ではありますが、大型艇ではちょっ
とあいた時間にすぐ出すという気にはなかなかなれないもの、一方、小型艇ではすぐに出せる。

私の知り合いが最近ヨットを始めました。24フィートですが、とにかく乗るのが楽しくて、楽しくてしょ
うが無いという感じで、朝出して、昼も出して、時には夜間も挑戦したり、とにかく気に入ってしまい
ました。それで、わずか数ヶ月のキャリアしかないのですが、もうかなり詳しくなっています。ヨットは
どれだけ乗ったかですね。最近では、風の良い日はエンジンを使わずに、セールだけで桟橋につけ
る練習をしているようです。彼曰く、風と波を知るには小型の方が良い、と言っています。それだけ
影響を受けやすいので、対応の仕方が勉強になる。また、自然をより感じることができる。

それで、大型艇に乗ると、これはもう楽だし、速い。これも魅力のひとつです。この豪快さは小型艇
とは違った魅力があります。大きな波が来てもへっちゃら、風が強くなってもどうって事は無い。頼も
しい限りです。どちらが上でも下でも無く、使い方の中心をどう考えるかでしょうね。

どんなヨットでも、シングル又はダブル程度で、気軽に出せる事は重要です。日頃は近場のセーリン
グで、走りを楽しみ、そしてたまにロングへ行く時は見知らぬ土地を楽しむ。知っている土地でも海
からの上陸はまた違った気分となります。大型サイズなら一気に行ける。でも、小型でも、短い距離
でちょこちょこ寄りながらクルージングするのも、それはそれで楽しみもあります。停泊地は見つけ
やすいし、どうにでもなる。

近場のセーリングは、それこそセーリングそのものを楽しむ。それで、ちょっと目的地を持つと、どうし
ても風の向きに関係無く、その方向へ行く。風向きが良く無いとやはりエンジンをかける。たまたま
風向きが良いとセールを出すが、それでも時間通りにつきたいから、エンジンもかける。こういうパタ
ーンが一般的ではないでしょうか。ならば、ロングとショートの使い方を分けて考えた方が良さそうです
ショートは徹底してセーリングそのものを楽しみ、目的地は無いので、あの島を回ってくるとか、こういう
場合はセールで遊ぶ。目的地を持つ場合は、エンジンかけても良いし、明るいうちに着きたいと思う。

目次へ     次へ