第58話 夏の風

午前中にたいして吹いてない風が午後から強く吹くことがあります。夏は日差しが強く、
地面が暖められます。一方、海は地面ほど暖まらない。水は温まりにくいのです。それで
地上の空気は暖められ、軽くなるので、上昇し、重い空気の風が海から陸に向かって吹く。
これが、夏の強い日差しは午後の2時とか3時頃に最も暑くなりますから、この状態がその
時間帯に最も強くなるというわけです。それで、夜になってくると、地面は急速に冷えてきて
海はたいして変わらない。それで、陸側の空気が重くなって、下がってくる。この時、海側の
空気と陸側の空気がバランスがとれて、無風状態になってくる。蒸し暑い夜になるんですね。

ところで、陸上の風と海とでは海の方が吹いています。家を出た時はたいして吹いていない
のが、海に来るともっと吹いている。海から陸に向かって吹く風は、海面上を滑っている時は
摩擦抵抗が少なく、スムースに流れ、陸に上がった途端、いろんな障害物のせいで、摩擦抵
抗が強くなり、風の流れにブレーキをかけてしまうせいです。それで、後から来る風は、先に
上陸した風がブレーキがかかってもたもたしているので、その上に吹きあがることになります。

逆に、陸から海に向かって吹く風は、陸上ではブレーキがかかっていたものの、海にでてスム
ースに流れ始める。そうすると、海に出た途端にスムースに流れはじめるので、陸からの風が
追いつかない。それで、今度はその穴埋めに上空からの風が降りてくる。それでやっぱり、
海上の風の方が強いんですね。でも、上空から降りてくる風は落ちてバウンドしたりして、安定
しない。

ついでながら、夏の空気は軽く、冬の空気は冷たいのは当たり前ですが、これが同じ風速でも
この空気の重さが違ってくる為にセールに当る圧力が違ってきます。夏は空気が膨張し、冬は
収縮する。そうすると同じセール面積に当たる空気の重さは夏の方が軽いのです。それで推進
力は落ちることになります。ですから、同じ風速なら冬の方が速く走れる。

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