第43話 速いという事

ヨットがいかなるコンセプトを持っていようが、速いという事は悪い事ではないですね。
先日もあるオーナーとの話の中で、このオーナーは完全なクルージング派ですが、や
はり速い船速には爽快さがあると言われていました。同じモデルのヨットや同じサイズ
のヨットに追い抜かれると、クルージング派の方でもちょっとは悔しい気持ちを持つもの
です。

そこで、デイセーリングの時はスピードを楽しむという乗り方も織り交ぜてはいかがでし
ょうか。それもできれば感では無く、具体的にGPSやスピード計を使って客観的な数値
を得る。クルージングヨットにはスピード計が無いものが多いのですが、最近のヨットは
GPSを備えているヨットは多い。GPSで速度を確認しながら走るのも良いと思います。

理想的にはスピード計、GPS、そして風向風速計があればきちんとデータを出す事がで
きます。これはそうしなければならないものでは無いのですが、こういう遊びも面白いと
思うだけです。どちらの方角から何ノットの風が吹き、その時のスピード計は何ノット、
GPSでは何ノットという具合に数値として出すのです。いちいち記録する必要はありませ
んが、何回も乗ると、前はこうだったとか覚えているものです。

スピード計は対水、GPSは対地のスピードとなります。対水とは潮の流れがありますの
で、海水に対するヨットの動きの差が出ます。一方、GPSは実際の移動距離を時間で割
り計算されたスピードです。これらは、潮の流れがある限り差が出てきます。例えば、
スピード計が7ノットを示し、GPSが5ノットを示す場合、船体は実際のスピードは5ノット
のスピードで移動しています。しかし、潮の流れが2ノットのスピードで前方から後方へ
流れている為、ヨットに対する海水の流れは2ノット速くなるわけです。潮の流れが後方
から前方へ流れている場合は、スピード計が7ノットであれば、GPSは9ノットを示すはず
です。潮の流れが2ノット分押しているわけですね。艇速がわかると同時に潮の流れも
解ります。ついでながら、コンパス進路とGPSの示す進路が異なる場合は潮の流れの
影響で、ヨットが横に少し流されている事を示します。GPSは実際の移動進路を示します
ので、GPSの進路が目的の方角になるよう舵を取れば、潮の流れを計算に入れたうえで
目的進路に進んでいることになります。

風向風速計は風の吹く方角と速度を示します。つまり、どの方角から、どのくらいの速度
で風が吹いた時に、どのくらいのヨットスピードが出ているかが明確に解る事になります。
これらはヨットがどんな風に走るかの性格を読む事ができますね。風に対して、何度で上
れるかも解ります。どの角度で吹いた時が最も速いスピードを得られるかもわかります。
レーサーで無くとも、こういうデータを出すと自分のヨットがどんな性格かが客観的にわかる
こういうのも遊びのひとつに取り入れてはいかがでしょうか。

前記しました1.34ルールによって、そのヨットがプレーニングしない状態であればスピード
は限定されます。√水線長(フィート) x 1.34です。ご自分のヨットで計算してみて下さ
い。あくまで水線長です。全長は関係ありません。実際は走りだすと水線長が長くなるもの
もありますが、ここではそれはいいでしょう。カタログ上のデータで計算してみてください。

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