第一話 ヨットを見る目を持とう

市場には世界各国で建造されたヨットが輸入されています。これは実に有難い事です。
でも、それぞれには安いものから高いもの、ぴんからきりまでありますね。はっきり言って
どれが良いやらさっぱり解らない。これが実情ではないでしょうか。世界中どこの国でも
安いのが最も売れています。これは日本も同じ、でも同時に高価なヨットも売れているの
も事実、皆同じなら安いにこした事は無いはずです。                     

これは自動車も同じです。安い車から高級車まで、何倍も高い車が売れる。安い車が載
れないのかと言うと、ちゃんと走ってます。結局は品質の違いですね。良い材質を使う、
腕の良い職人を使う、構造が違う、工法も違う、デザインも違う。これらが総合されて、そ
のヨットの品質が決まり、価格が決まる。ただ、価格だけ高いヨットで品質が伴わないヨッ
トがあるなら、それはすぐに市場から消え去る運命です。市場に残っているという事は、市
場がそのヨットを受け入れているという事です。それには理由があるはずです。      

良い材質というのは、ヨットの寿命を延ばします。腕のある職人は良い仕事をし、構造が違
うと船体の剛性にかかわる。工法も違えばより強く、デザインは見た目だけでは無く、その
ヨットのコンセプトを表現します。これらが総合して質の高いヨットが完成する。質の高いヨッ
トはバランスが良く、壊れにくい、ガタが来ない、寿命が長い。つまり、長い寿命を想定して
建造するか、そこそこで良いと思って建造するかの違いとなります。新艇時には解りにくい
かもしれませんね。でも、乗りこむと解ります。質の高いヨットは乗って楽なんです。時化る
とよけい解る。車でもそうですね。同じです。良いものは良い。                 

目が慣れてくると、ある程度見ただけで解るようになります。理屈では無く、感じられるよう
なる。そのヨットの持つ雰囲気と言いますか、取り囲む空気が違う。艤装品はどれもだいた
い同じようなメーカーの物を使っています。ハーケンやリューマーなど、しかし、それでも違
う。何故か?取り付け方がしっかりしているとか、電気配線ケーブルに電飾がしないように
処理されているとか、見えない部分の気配りが違う。                      

それで皆高品質ヨットを買うべきかと言うと、そういうわけではありません。予算と使い方に
合わせる事です。誰でもベンツを買うべきかというと、そういうわけでは無いのと一緒です。
でも、高品質の程度の良いヨットとそうでは無い新艇なら、高品質艇をお奨めします。もちろ
ん、年式や程度にもよりますが。                                  



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