第二十六話 ジブブームへのこだわり

デイセーラーはいろんな造船所から建造されてくるようになりました。私としても、常に新しいヨットが出ていないかをチェックしています。良いヨットが出れば、日本に紹介したいと常々思っています。その中でも、ジブブームにはこだわっています。

多くのデイセーラーが大きなメインセールにセルフタッキングジブという設定を採用していますが、この場合、ダウンウィンドにおいては、ジェネカーを使う事になります。ジブとメインだけならシングルでも可能なのですが、ジェネカーとなりますと、シングルでは少々難しくなります。そこで、当社としては、ジェネカーのファーラーを採用する事でシングルをよりやり易くと考えています。ファーラーであっても、ジェネカーのジャイブとなりますと、やはり難しい。それがファーラーですと、ジャイブする際は一旦巻き取って、ジャイブ後、再びセールを展開する方法が取れます。もちろん、クルーが居る場合はその必要も無いし、慣れれば、シングルでもジャイブができないわけじゃない。でも、一般的としては、シングルでは一旦巻いてという手段があれば、シングルでジェネカー帆走が可能になる。この事は、より幅を広げる事になると思います。

さて、もっとイージーにという、誰でもダウンウィンドが簡単にできるというのがジブブームであります。ジブブームはセールを開いても、メインセールと同じように、ブームがあるわけですから、セールをきれいに開く事ができる。これなら、どこからの風でもすぐに対応ができます。この利便性は非常に大きいと思いますね。ですから、ジブブームにこだわっています。もちろん、ジブブームを持つヨットが、時にジェネカーを展開しようとも構わないわけで、その幅は広い。ジブセールは本来、上り用、それがオールラウンドで使えるようになった。その意義は非常に大きい。

これを考えだし人は、今では高齢になられましたが、ゲーリーホイトという人で、かつてはアレリオンヨットを全米に知らしめた人で、アレリオンの普及に貢献した方です。このアレリオンをさらに推し進める為に、このジブブームを考案した。もちろん、彼の特許で、ジブブームはホイトブームとも言われます。ただ、残念な事は、どんなヨットにも設置できるかと言いますと、問題があります。
ひとつは、もともとセルフタッキングというセールプランを持つヨットでないと、メインセールが大きくないので、ジブも小さくなったら、セールエリアが少なくなってしまう事と、フォアステーの後部にアンカーロッカーが存在する事で、設置ができない。それで、一部のヨットになってしまいます。

でも、最初からセルフタッキングジブと大きなメインセールという組み合わせのセールプランを持つなら、最初の課題はクリアーされています。二番目はアンカーロッカーをどうするか?

そこまでして、ジブブームはメリットがあるのか?シングルなら大いに有ですね。他にも、例えば、ジェネカーやスピンを持っているヨットは多いのですが、あまりか、殆ど使われていない。という事はダウンウィンドセーリングに対して、あまり楽しんでおられないのではないか?それがジブブームは一機に解決してくれます。

さらに、何といっても気楽なんですね。セーリングがイージーになる。この事は気持ちを楽にさせてくれます。それでも、セーリング自体の面白さはちっとも損なわない。そこが魅力です。

いろんな発明があります。ファーリングシステム、オートパイロット等、その恩恵にみんなが預かっています。ジブブームもすごいのですが、ただ制約がある。そこが今一とも言えますが、発明としてはすごい発明かと高く評価しています。ジブブームのページ

今のところ、当社扱いとしては、アレリオンとハーバーヨットの全モデルに標準装備としています。他のデイセーラーでは、これが設置できないので、ジェネカーを前提にしていますので、お勧めはジェネカーファーラーという事になります。ジェネカーファーラーのページ

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