第八十話 ヨットの時代

誰が衰退の一途と言ったのか、これからはヨットの時代です。ヨットを題材にした映画がジャイブでしたか、最近公開されたと思いますが、今度は鹿児島で火山島レースを題材にした映画の撮影が始まりました。海の金魚というそうです。良い傾向じゃないですか。これも見て、あこがれる人達も増えるかもしれません。とにかく、ヨットという物が、視野の中に入っていなければなりません。そういう意味では映画なんかは実に良い。是非、成功されん事を願っています。

人間の意識なんて、ころりと変わる事があり、ちょっとしたきっかけで流行ったりするものです。そしてそれが長く続く為には、よりたくさんの人達が入れる敷居の低さが必要になります。それは、漁港の開放とか、小さいヨットが流行るとか、デイセーリングが面白いとか、そういう事になろうかと思います。こういう土台ができないと、上が不安定になります。

昔はヨットが小さかった。それで、いつかは30フィートとかいう話が良く出ていましたが、バブルをきっかけに一機にサイズが大きくなり、30フィートどころの話では無くなりました。本当はここに若い人達の参入さえあれば、彼らが小さいサイズを乗り、いつかはもっと大きくとなったのでしょうが、残念ながら若い人達の参入が無かった。それで、ヨット界はベテラン揃い。そうなると、小さなヨットは売れない。そのベテランの方々がみんな一緒に年をとるわけですから、平均年齢は上がる一方で、それで、衰退という言葉が出るのかもしれません。

しかし、敢えて言いますと、物事には波があるわけで、一旦は今のような現象もあるでしょうが、また盛り返す波も来る。世間はTVゲームとか、携帯電話とか、流れがそっちに行きました。アウトドアなんか流行らない時代です。でも、振り子は極に行きますと、戻ってくる。指先ゲームで楽しんでいたのが、やがては体を使って、汗かいて、その爽やかさが新鮮に見えてくる時が来る。今は頭脳だけが汗かいてます。体は汗をかいていない。バランスが取れません。頭脳だけが動いている。だから世の中変になる。頭脳はどこまでも考える事ができます。あらゆる方向に。それで一旦は変になった世の中が、これではいかんと、今度は体とのバランスを取り始める。頭脳はオーバーヒートしそうな感じ、そこに体がどんどん動くと、頭脳が休まる。それでバランスが取れてくる。頭脳と体のバランスが取れている事こそが、最も健康的なのではないでしょうか?

そこいきますと、ヨットは適度に体を使い、感じもします。そして当然ながら頭も使う。頭脳と感情と体の三拍子が揃っています。最近では若者は車にもあまり興味が無いらしい。でも、ヨットに乗れるとか言いますとかっこいい時代になるかもしれません?そこ行きますと、今のベテランの方々は若者から見れば、かっこいい存在になるわけです。これで、昔のように、若者が乗せてもらいたいと思うようになる。そんな時、コクピットで酒ばかり飲んでちゃいかんわけです。セーリングの面白さを伝えなくてはいけません。それで、時代はセーリングへと進むわけです?そんな時代が来ませんかね〜?

マリーナには若者が増え、活気を取り戻す。その準備の為にも、今から、セーリングを少し気合いれてやりましょう。それに今からは環境の時代です。環境とは自然の事。人が自然の中で生きている事をもう一度理解し、自然無しでは生きられない事を肌で感じる為にも、ヨットは実に良い題材です。経済発展のみで生きてきた時代から、少しシフトしようとしています。我々の最先端科学でも、この自然をどうにもできない事、それに従うしか無い事を肌身で感じられる。だからこそ、環境問題が実感できる。意識はそういう方向に変わりつつあります。今度は実感しなければならない。そうしますと、自然とそういう流れができてくる?ですから、これからはヨットの時代なのであります。

何かに不都合がありますと、科学の力でそれを解決してきました。それが経済発展です。ところが、それが環境破壊にもなってきた。考え方を少し変える必要がでてきた。強風でヨットに乗れませんとなりますと、科学はそれでも乗れる方法はないかと考えます。まあ、市場が小さいからそんな事にはなりませんが、でも大規模な市場であったなら、車市場のようにです、きっと科学はそう考えるでしょう。でも、これからは、ちょっと考え方を変えて、何でもかんでもそうやって解決していく事が本当に良い事かどうか、そういう事も考える時代になってきたと思います。

環境を考えるという事は自然を考える事であり、それには自然に親しむ事が必要で、実感するのが何よりで、そういう時代が徐々に来ている?だからヨットの時代?戯言ですが。

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