第三十三話 良い遊びの薦め

昨今の経済状態で、世界中が意気消沈しているのかもしれませんが、こんな時こそ、セーリング、それもデイセーリングを是非ともお奨めしたいと思います。我々は、何かありますと、それに対する対処を考えるのが常識です。あれをこうして、ああして、もしこうなったら、云々です。

全くその通りではあるのですが、その最善策をひねり出す為には、その対処しなければならない真っ只中に居たのでは、なかなか良いアイデアが浮かびません。冷静に適切な対応をせまられる時こそ、一旦頭脳をスッキリさせておく必要があると思います。

それが遊びの大きなメリットです。頭をスッキリさせるには、一時の享楽的な遊びでは難しい、全てのすべき事を頭から追い出して、無心になって、何かに集中する。それも損得の無い遊びでです。
セーリングというのは、一旦、海に出ますと、その短い時間は、陸上を簡単に忘れる事ができます。海に出る事で、世界が変わり、心の切り替えがすぐに出来る。そして、2〜3時間の間、おしゃべりしているよりも、セーリングに集中している方が、頭はスッキリします。おしゃべりは、また、何らかの打算なり、気遣いとかが入り込みます。

セーリング中は、風と波、それに対する舵とセール、そういう事に集中し、ヨットの動きに対しても、神経を集中させる事ができます。すると、気持ちはそこ一点に注がれ、陸上の何かを全く入らせない。それが簡単に出来ると思うのです。

そうやって、2〜3時間のセーリングを終えて、帰ってくる頃、頭はスッキリしています。それは多分、セーリングには損得が無いし、打算もなし、ただひたすら無になるチャンスがあるからだと思います。それが、頭脳を一旦きれいにリセットして、気持ちもスッキリさせて、陸上に戻った時に、新たなエネルギーと言いますか、スッキリした気持ちで対応する事ができるような気がします。遊びの最大のメリットはこれではないかと思うのですが。それも、同じ遊びであっても、陸上での遊びよりも、海に出た遊びは簡単に別世界を創る事ができるような気がします。海に出るだけでもそういう効果があると思いますが、セーリングというのは、さらにそういうリフレッシュの効果を増大させます。

我々は、あっちにある物をこっちに持ってきたり、ああでも無い、こうでも無いという事ばかりに気をとられがちですが、それもこれも頭脳がクリアーでなければ、的確な判断にはなりません。その為にも、頭脳はスッキリ、リフレッシュした方が、遥に良い判断ができると思います。

日本人は遊びを蔑視している感がまだまだどこかにあり、遊びは仕事より劣ると考えますが、遊びも仕事も人生の一部、より良い仕事をする為には、より良い遊びが必要で、より良い遊びをする為にも、より良い仕事が必要かと思います。より良い遊びとは、頭脳と気持ちのリフレッシュさせ、エネルギーをチャージする。その最高の手段としては、セーリングは非常に良いと思います。遊びは劣るどころか、良い遊びさえすれば、あらゆる場面において、効果を発揮する。

もちろん、セーリングだけがそういう効果を発揮するわけではありませんが、ただ、セーリングは他の遊びに比べて、切り替えが非常にし易いと思います。それは多分、自然の力、海という全く陸上とは違うフィールドだからではないでしょうか?せっかく、ヨットを趣味にされたのであれば、それを活用しない手はありません。セーリングはリフレッシュ、エネルギーチャージ、そういう力がある。但し、陸上と同じように、おしゃべりに興じたり、キャビンで過ごしたり、そういう陸上に近い事では難しいとは思いますが、セーリングは全く別の世界ですから、簡単にオーナーをリフレッシュしてくれます。セーリングに集中する。できれば、シングルが良い。

今こそ、良い遊びが必要なのではないでしょうか?

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