第十九話 趣味的セーリング

しかしね〜。こんな面倒くさい事するんか?それよりのんびり気ままにセーリングする方が良さそう。そんな声も聞こえてきそうです。何もプロになるわけじゃなし、適当にやってたって、結構楽しめるしね〜。いやいや、ごもっとです。でも、ここがレジャーと趣味の分かれ目です。しなければならない事は何もありません。したくなければしないで良い。でも、ちょっと考えて見てください。楽器を始める、絵画や陶芸、何らかのスポーツ、ダンスでも、武道でも、何でも良いのですが、みんな練習してうまくなろうとします。その方が面白いと解っています。楽器で音階が弾けるようになって、簡単な曲が引ける。それで満足かどうか? 満足なら良い。でも、もうちょっと複雑な曲が弾けるともっとカッコイイわけです。それで、趣味的にやれば、少しづついろんな事が解ってきます。それが面白い。その面白さを知るかどうかです。そのちょっと面倒な事も解れば面白くなる。ですから、そう思って、その面倒な事でもちょっとやってみてはどうでしょうか?そんなお誘いであります。要は、もっと求めて、もっとカッコ良く乗りこなしましょう、という事です。

今日のデイセーラーはこの趣味的セーリングにはピッタリかと思います。目的はこの広い海の上を自由自在に縦横無尽に走れるようになる事、それには、操作が簡単でありながら、性能が良く、レスポンスの良いヨット、軽くて微風でも走り、それでいて船体は強く、また高いスタビリティーで、強風にも腰が強い。特にシングルハンド仕様としても考えられていますので、慣れていけば、ひとりで簡単に操船ができますので、全く初めての誰かを乗せる時にも、躊躇する事がありません。

デイセーラーは基本的にジブは小さく、ほとんどはセルフタッキングジブと大きめのメインセールというコンビネーションです。メインセールの方がコントロールしやすいのと、タッキングの時にいちいちジェノアのシートの出し入れをする必要がありません。すると、舵操作のみでタッキングができますので、何十回やっても楽にできます。

それに、セールを上げるにしても、例えばアレリオン28ですと、メインセールをトップまで上げるのに、ほとんどウィンチ無しでも上げる事ができます。ウィンチは最後のテンションをかける程度でOKです。そして、セーリング中のほとんどの場合、ウィンチを使わないで、操作ができるほどです。
このサイズ以上のヨットの場合は、電動ウィンチを設置しておりますので、操作は楽々なのです。

真っ直ぐ走ってきて、舵をぐっと切りますと、そのままで一回転します。セール操作無しです。そんな事は普通はしませんが、面白いからやります。回りの方々は多分、えっ?と驚かれるかもしれませんね。或いは、真っ直ぐ走ってきて、ぱっと180度回転して真逆の方向に走ります。前話で風向の事を理解しておけば、新しい方角がどういうセール展開になるかがわかりますので、大きい方のメインセールをさっと調整できて、その後ジブ。慣れるとさっとできる。これも面白い。

アレリオンにはジブブームがついてますので、ランニング時の観音開きが簡単にできます。ジェネカーを必要としません。シングルで簡単にランニングさえも効率良く走れます。つまり、360度大きく回転する時、島回りをする時、簡単にシングルで走れる事になります。スピードもあるし、スタビリティーも高いので、ライフラインさえも必要としません。コクピットから出る必要がありません。

アレリオン以外はジブブームがありませんが、それでも、メインセールの方が大きい設定ですから、ランニング時にジブがきれいに開けないにしても、一般ヨットよりは効率は遥に良い。但し、もし、クルーが居て、もっとランニングの快走をと考えるのであれば、やはりジェネカーという事になります。ジェネカーを使えば、アレリオンのジブよりもエキサイティングなセーリングを堪能できます。またシングルにしても、ジェネカーファーラーシステムにしますと、シングルでも可能になります。

今日のデイセーラー、自由自在にセーリングを楽しむにはもってこいのヨットだと思います。但し、その性能を発揮する為に、キャビンを少し犠牲にしてスタビリティーを優先しています。この事はセーリングの楽しさを優先する為であり、その代わり、広いコクピットを有し、コクピットがみんなの場所になります。キャビンは寝泊りの場所、遊びはコクピットで、という事です。

できれば、もっとセーリングを面白くする為に、風向風速計とスピード計の設置をお奨めしています。これでもっと走りやすくなりますし、いろんな目安もできるし、何かと面白さが増すと思います。是非、これからの大人の趣味として、デイセーラーで多いにセーリングを遊んで頂きたいと思います。

さて、ヨットやるのに、セーリング自体を面白くしようと考えるかどうか? どう思われます?

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