第十四話 うまく行かなくて当たり前

気持ちの良いセーリングをと思ってヨットを出しますが、天候が思った通り良く無かったり、風が強すぎたり、弱すぎたり、暑かったり、寒かったり、クルーが突然来れなかったり、或いは、船底がペラが汚れていたり、いろいろあって、冷静になって考えて見ますと、理想的に行かない方が多い事に気付きます。何だってそうです。ちょっと足りなかったり、多すぎたり、いろいろあるもんです。そこで、いちいち嘆いていては楽しくありませんので、その時のセーリングをいかに、よりうまくできるかに神経を使った方が良い。すると、それなりに、楽しめるのではないかと思います。パーフェクトなバランスでは無いかもしれませんが、パーフェクトだけが楽しいわけでも無いと思います。

スプレーを浴びると服が濡れてしまう。当たり前の事ですが、それが嫌なんですね。でも、今日はそういう日だと最初から思えば、それもまた面白さに変える事ができる。昨日でしたか、TVニュースで熊本の有明で、泥んこの中でのビーチバレーをやってました。サーブを受けて倒れれば、カラダ中泥んこであります。でも、そんな事は最初から解っていて、それがまた面白いわけです。嫌な事でも、考えようによっては楽しくなる。こんな時は、泥んこにならない方が面白く無いわけです。
先日でも書きましたが、スプレー浴びて大笑いなんて事も可能です。

うまく行かない方が多い。ならば、それを頭を切り替えて、楽しく過ごす方法を考えた方が、結局は楽しいわけで、嫌がっても何も解決しません。楽しんだ方が勝ちです。風が強すぎたら、最初からリーフして出る。メインだけにしておく。無理はいけませんが、そういう強風の味わいもいつかはしなくちゃなりません。都合の良い時だけを狙うと、それこそヨットなんかめったに乗れなくなります。逆に、いろいろ工夫したりして乗りますと、良い時、悪い時と経験し、総合的には、良い時だけ乗るより、遥に面白さを感じると思います。

それで、今日はどうかな?と思う時、頭の片隅にでも、うまく行かなくても当たり前ぐらいの気持ちを持っておいた方が良いのではないかと思います。決して悲観的でも無く、都合が良くない時に、どうやって楽しみを見つけるかも工夫のひとつ。その工夫もやって楽しいと思えるぐらいの、気持ちの余裕を持つ。すると、それも上手く行ってる範疇に入れる事ができ、本当にどうしようもない時以外は楽しむ事も可能かなと思います。つまり、楽しさが増えるわけです。

クルーが来れなくなったら、ひとりでも楽しめるように。或いは、マリーナのそこらを歩いている人に、一緒に乗りませんか?と声をかけるのも方法でしょう。考えれば、いろいろ方法はあると思います。自分に都合が良い、悪いは、自分で幅を決めています。ですから、その幅を少し広げる事にしましょう。理想的なセーリングはありますが、そのうち体験できます。その時はしびれてしまう。

経験を積むというのは、理想的セーリングを体験できるように腕を上げるという事もあるかもしれませんが、その他には、いろんな状況でも乗れて、そこそこでも楽しめるという自分の幅を広げるという意味もあると思います。つまり、頂点を目指し、裾野も広げる。そうすると、うまく行って当たり前になるかもしれません。いろんな場面を楽しめるかもしれません。そういう意味では、理想は不要かも?裾野さえ広げていけば、いろんな頂点を味わえるのかもしれません。理想はある一点に決めてしまいますから、それじゃ、一点しかうまく行かない事になる。

という事は、何でもトライしてみるのが良い。クルージングもセーリングもレースも何でもです。限定せずに。デイセーリングをお奨めしていますが、デイセーラーでクルージングに行ったて良い。レースに出たって良い。それでも、デイセーリングに帰ってくるでしょう。そのセーリングが面白いと感じている限り。最も面白いと感じるところに行きます。それで良いのでは無いでしょうか。

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