第五十三話 デイセーラー&デイセーリング

デイセーラーとはヨットをさしますが、デイセーリングは行為をさします。つまりこのふたつは別物という事です。デイセーラーはデイセーリングという行為を目的として、それが最も面白いのはどうしたら良いかと考えてデザインされています。一方、デイセーリングはどんなヨットであれ、デイセーリングをする事です。

例えば、旅よりもセーリングが好きな方、そういう方にはセーリングを遊んで頂きたい。クルーはひとりかふたり居るとしたら、ハイパフォーマンスのクルージング艇なんかはどうでしょう。例えば、イタリアのコメットヨットです。

コメットヨットの各モデルの共通点はセーリングを遊ぶという事にあります。クルージングといえどもセーリング性能を高め、セーリングを遊ぶ。ヨットはセーリングが面白いという考え方です。艤装については、オーナーのお好み次第。レーサー的な艤装を施していくか、或いは、イージーセーリングをしていくかです。

 


左の写真はコメット36の標準タイプ、右の写真はコメット36のオープントランサムタイプです。例えば、右側のタイプは従来ならクラブレース的な志向と考えるかもしれませんが、いやいや、こんなちょっとしたスポーツ的フィーリングのヨットを、艤装の選択によってショートハンドのデイセーリングとして遊んでみるのも悪く無い。

例えば、レーサー志向の方はレーシングマストを選ぶ事もできる。しかし、そうでなければ、メインセールをファーラーにする事もできれば、ベアリング付きスライダーにして、セールホイストを軽くできるし、また電動ウィンチで簡単に展開もできます。また、ジェノアは仕様によってはセルフタッキングジブにして、バウスプリットを設置しファーリングジェネカーにする事もできる。

固定観念に囚われずに、スポーツフィーリングのヨットをシングルやショートハンドでデイセーリングとして遊ぶ事も充分に可能なわけです。スポーツカーはレーシングする車でしょうか?そんな事はありません。スポーツフィーリングのヨットでクルージングしても良いわけです。

つまり、デイセーリングには、デイセーラーと称するヨットのみならず、こういうスポーツフィーリングのヨットをそういうコンセプトで艤装して遊んでも良いという事になりますね。デイセーラーコンセプトのヨットはデイセーリングをシングルで可能にしています。クルーが一人居るなら、こういうスポーティーなヨットをデイセーリングとして遊んでみる事も可能かと思います。

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