第十九話 パフォーマンス

クルージングヨットという他にパフォーマンスヨットという言葉が聞かれます。性能の高いヨット、単なるクルージング艇とは違います。車にしても、最近の車はどんな車でも大抵は加速が良かったりしますし、アクセル反応が良かったり,足回りが良かったりします。それは殆どの車が快適になって、そうえで進化させていったからかと思います。

ヨットでも同じではないでしょうか。幅や天井の高さの違いはありますが、どんなヨットでもそこそこのキャビン空間は確保してありますし、温水や冷蔵庫、その気になればエアコンなんかも搭載できます。次に進化させるとしたら、取り扱いのし易さ、メインファーラーの採用、電動ウィンチ、バウスラスターの採用などによってショートハンドによる簡単セーリングです。

結局、快適と簡単、便利と来れば次には性能向上です。特に、ヨットはどこかに行く目的にも使いますが、どんなに速くとは言ってもヨットですからしれたもんです。その性能というのは、セーリングを遊ぶうえでの性能で、どこかに行くのはエンジンです。ですから、セーリングには性能が良い方が良くて、どこかに行くにはエンジンで行く。

そうなりますと、単なるクルージング艇というより、パフォーマンス艇、ハイパフォーマンス艇なんかが、通常の使用には最も面白いのではないかと思うわけです。日常はショートハンド、それも二人も居れば結構大きなヨットでも乗れる。それで高性能を楽しみ、どこかに行く時はエンジンですからこれも問題無し。そしてキャビンも充分なのです。純然たるクルージング艇に比べれば、幅や天井の高さで10cmとか20cmとか小さくなるかもしれませんが、それでも充分な広さを確保できてますし、バウとスターンにキャビンがあり、メインサロンがあり、ギャレーやトイレがちゃんとある。ならば、純然クルージング艇にするよりも、パフォーマンスヨットの方が面白いのではと思うわけです。

そのハイパフォーマンス艇を楽に乗る為にセルフタッキングジブとかメインファーラーとかを採用する事も可能でしょうし、電動ウィンチを設置する事も可能です。そうやって、楽に高性能を遊ぶという方がこれからの楽しみとしては幅が広がるような気がします。

クルージング艇はメインシートのトラベラーはキャビン入り口の向こう側、コクピットにはありません。コクピットにあると邪魔でしょうか?セーリングしながら、コクピットテーブルを広げて、テーブルの上には様々な瓶やコップが並ぶ?そんな事はありませんね。ヒールしたら一発で落ちてしまいますから。コクピットテーブルはセーリングしない時に使います。

イタリアのコメットヨットはそういうジャンルのヨットです。単なるクルージング艇ではありません。クルージング機能を持つ、パフォーマンスヨットです。このヨットでクルージングするに何の問題も無いし、セーリングしようと思ったら、良く走ってくれて面白い。そういうヨットです。コクピットにメインシートトラベラーがありますが、ラットを持ったままシート操作ができる。トラベラー操作ができる。バックステーアジャスターが操作できます。

 

 クルージング良し、セーリング良しのヨット
 それがパフォーマンスヨット、こういうヨット
 の方が面白いのでは、と思う次第です。
 でもキャビンはこの通り。
 

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