第九十二話 引き続き、使用頻度について

会社がお客様の接待に使う事を主に考えたとしたら、ヨットは帆走性能とかいう問題よりもキャビンの広さと見た目のデザインの良さなどが重要です。接待と爽やかなクルージングができなければなりません。これは海外にあるチャーターヨットと同じで、その1日をどう快適に過ごす事ができるかが重要になるでしょう。そして、この場合の接待される側、お客様は、このヨットにしょっちゅう乗るわけではありません。仮に、毎週のように接待に使うにしても、その都度、お客様は変わる。よって、常に快適でなければならない。使用頻度はお客様にとっては、非常に少ないわけです。

ところが、このヨットを動かすスタッフにとってはどうでしょう。彼らは、毎回乗るわけです。そうしますと、たまには、もっと走りたいなあとか、思う事があると思います。でも、それはこの場合は重要では無い。お客様が主体ですから。

さて、個人の場合はどうでしょう。始めて家族が来た。奥さん、友人でも良い、同じ事です。これは会社の接待とは違うかもしれませんが、本質は同じです。彼らは、快適な一日にきっと満足してくれるでしょう。もし、彼らが2回目に来るとしたら、前の1回目がずっと前で、記憶があまり鮮明でなければ、これも接待になる。それで良い。でも、1回目と2回目の間があまり無く、鮮明に記憶されているなら、前と同じでは、ちょっと物足りないかもしれません。それが回数が増えると同じです。

オーナーはえてしてこういう場合、年に1度か2度の接待を考慮してヨットを考える場合があります。しかし、会社の接待では無いのですから、年に1度か2度の為に接待用のようなヨットにする必要は無いと思います。通常の自分の使い方を優先しないと、乗らなくなって、接待さえもしなくなるかもしれません。それどころか、オーナーが好むヨットでも、それがどんなヨットであっても、ゲストは充分に遊ぶ事ができます。それは海とヨットという非日常性が既にそういう環境を整えているからです。だから遠慮は要らないわけです。

ゲストであった方が、しょっちゅう来るようになると、やはり接待セーリングでは物足りなくなり。それでセーリングをもっと突っ込んでやるか、来なくなるかのどちらかではないかと思います。或いは、オーナーの人柄が良く、おしゃべりがおもしろいかです。この場合はオーナーの魅力であります。

結局、使う頻度が多いなら、セーリングをもっとするし、頻度が少なければ、ピクニックでも何とかなる。人にも寄るとは思いますが、それが平均して月に1度以上か以下かのあたりが分かれ目ではないかという気がします。

ゲストにしても、数回乗った方なら、もう少しセーリングをやりたいと思うでしょう。オーナーなら尚のことかと思います。酒飲んで、ピクニックセーリングはもう終わりです。次の段階に進んでみましょう。それは、旅をするか、セーリングするかです。したい方を選んでやる。どちらにしても、たまに接待も宴会もできます。会社の接待ではありませんから、あくまでオーナーとゲストですから、オーナーの好むヨットで良いと思います。

そうしますと、オーナーにとっての使い勝手、帆走性能、そういう物が気になります。それで良いかと思います。自分勝手に作ります。それで良い。何しろ、オーナーなんですから。接待する側のスタッフとは違います。

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