第五十三話 理想的ライフスタイル

理想的なヨットは、理想的なライフスタイルに寄る。どんなヨットが良いのか、というのは本当はどんなライフスタイルが良いのかの問題で、そのスタイルに合うヨットはどれかという事になろうかと思います。という事は良いヨットを探す前に、良いライフスタイルとは何かを考えなければなりませんね。いくら、世間で良いヨット、みんなが買っているヨットとはいえ、自分に合うかどうかは解らない。
どんなヨットに乗りたいですか、という質問は、どんなライフスタイルがお好みですかという意味になります。

理想的にはいろいろあるでしょうが、今できない理想を想像しても仕方ありませんので、今できる範囲での理想を考える必要があります。仕事していながら、何ヶ月もかけて遠くへクルージングしたいと思っても、無理な事は無理、或いは仕事やめちゃうかです。また、仕事引退してからならOKですが、暇が一杯あるからと言って、ロングにでなきゃならんわけでも無い。

それで、仕事している人は今何ができるか? クルージングはある程度ロングでなければならない。クルーズして回る。往復を考えるなら、最低でも2日間。初日は行き、翌日帰る。最低限です。
月に1回ぐらいするか? でも、これもちょっと無理ありますね。それに1泊2日じゃいろんな所にはいけません。それで、休暇をとって、年に何回かという事になるでょう。で、後の日にちはと言いますと、クルージングに強い意識を持ってますと、日常には乗れませんので、頭を切り替えて、日常はセーリングを楽しむ。

元々、クルージングよりもセーリングに興味があるなら、デイセーリングがもってこい。どんどん遊べます。そして、たまに気が向いたらウィークエンドセーリングで、1泊2日。結局やることは一緒になってしまう。仕事持っているなら、デイセーリーングを意識する事の方が効率は良いと思います。

暇がたっぷりある方なら、ロングクルーングでも、デイセーリングでも思いのままです。好きな事すれば良い。何ヶ月もかけてクルージングしても良いし、或いは、そういうのに興味が無ければ、デイセーリングを毎日しても構わない。どこかに行くより、いかにセーリングするかが主目的です。デイセーリングはそういう意識じゃないと、面白く無いと思いますね。

理想的なライフスタイルとは、別にたっぷりの時間がある事とは限りませんし、仕事は仕事として充実していてほしいし、その合間に乗るセーリングが良いという方もおられるでしょう。もちろん、ロングクルージングも魅力があります。何ヶ月とまでは言わないまでも、1〜2週間の旅を何回もやっても良い。どんなライフスタイルか?仕事、家族、仲間、遊び、そして自分の個性、それらにどんな時間の割り振りをしていくか?

それによって合うヨットが決まってきます。どのくらいの時間が自由になるのか?それは連続か、飛び飛びか?一緒にいつも乗るクルーは居るのか?それは家族か、それとも友人か?ロングの旅をするにしても、一人か、誰が一緒か?ひとりで何でもできるなら、最大限の自由を獲得できます。仲間が居るならそれもおおいに結構ですが、その分、自由は減じられ、多少の妥協も必要です。

ヨットはいろんな遊び方ができるでしょうが、結局は、デイセーリングにおけるセーリングを中心に楽しむか、ロングのクルージングを主に楽しむか、その他はその合間のアクセントという事になると思います。そう思うと意外にどっちが合うのか解り易い。

セーリングを楽しむなら、ヨットのスタビリティー、セールプラン、フィーリングが重要になります。一方、旅が中心なら装備と安全性、それに乗り心地という事になるでしょう。選ぶ視点が違います。

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