第三十八話 デイセーリングの運営

日常的にデイセーリングを遊ぶには、気軽にできる事が条件になります。1回のセーリングが長時間になるより、1回は2,3時間でも、回数多く乗れる事が必要かと思います。それには気軽な気持ちが必要です。回数多く乗るという事は、自然条件が毎回異なりますので、いろんな条件でのセーリングを経験できる事になり、経験豊富という事になります。良く、年数では無く、何マイル走ってきたかという事が言われますが、それに加えて、何回出たかという事も重要かと思います。

気軽になる為には、できるだけ少ない人数で乗れる、理想的にはシングルで乗れるというのが良いと思います。クルーの手配が不要になるからです。ある方が言ってましたが、誰がヨットを動かしているのか?クルーならば、クルー無しではそのヨットは動かない事になります。ですから、できるだけ少ない人数で、操船できるように考える。その為に艤装品を考える。

当社取り扱いのデイセーラーはシングルで可能ですので、私の理想です。でも、もっと大きなヨットに乗りたい方は、もちろんOKです。それで、操船の具体的方法を考えます。でも、たいては慣れた方、オーナーとクルーひとり、ふたりで大抵は操船可能ですから、ふたりで操船するという条件を持っていたら、自由度は上がると思います。

サイズにもよりますが、大きなヨットのメインを上げるのは結構大変です。体力に自信が有る方、若いクルーが居る方には問題は無いと思いますが、我々も年を毎年取って、体力も落ちていく方向にあるわけですから、そのあたりを考えますと、ヨットのサイズをある程度抑えるか、電動ウィンチを設置するかです。電動ウィンチはシートの引きにも使えますから、セールが強い風を受けている時の取り込みには楽です。タック後とかにシートを引く力は、風によっては相当なものですから。

ジブファーラーは当たり前ですが、メインファーラーも最近では珍しくありません。オートパイロットも最近ではワイヤレスのリモコンなんかもあります。とにかく、ショートハンド、気軽に出せる。体力は機器でカバーしながらも、セーリングにおいては自分で舵を握り、セールトリミングをして、より快走を目指す。2,3時間でも充分かと思います。

それでやっかいなのが、ジェネカーです。ジャイブを含めたジェネカー。でも、ここまでやらないと、ヨットの面白さは半減します。有り難い事に今ではジェネカーファーラーがありますから、それを使いこなすと面白さが増えてきます。このファーラーという奴は、万一ジャイブが難しいと思うなら、一旦ジャイブする前に巻いてしまう事ができます。ジェネカーを巻いて、メインを引き込み、ジャイブして、メインを出す、そしてジェネカーを今度は反対舷に出す。こういう事もできます。慣れたら、そんな必要はありませんが。

大きなヨットを求める方は過去に経験を持つ方でしょうから、ふたりで全ての操作をして、セーリングを楽しめる方法を良く考えて、ヨット本体、そして艤装を考える。マリーナの出航から、セールホイスト、トリミング、あらゆる方角、帰航までを全部、しかも、動けば良い程度では無く、面白くがキーワードです。楽にも必要ですが、面白くが大切です。

こうやってふたりで気軽に出せるようになれば、後は何とか時間を調整して、時間を作る。それで頻繁に出す。微風もあれば強風もある。いろん状況で出す。これが面白くてたまらない。という状況を作ります。で、たまに家族や仲間を乗せてあげれば良いし、ちょっと遠出もたまには良い。
とにかく、二人で気軽に面白いセーリング。或いはシングルでも同様です。シングルかダブル。

そういう事を前提にしますと、いろんな事が解ってきます。艤装はどんな艤装が良いか、どこに設置されるのが良いか?カスタムでも無い限り、あれをここに設置してくれとはオーダーできませんから、考えた艤装にできるだけ合うヨット選びが必要になります。

大きなヨットを二人で動かす場合、まずはハリヤードウィンチを電動にする。この場合、ファーラーでも良いのですが、できればブームファーラーの方がいろいろな面で良いと思います。まあ、セールをたたむぐらいは自分でやれますから、それにレージージャックがあれば簡単ですし、さらに最近ではセールカバーの上部だけファスナーがついた簡単な物がありますので、ファーラーである必要は無い。それにスライダーも最近のは良いのがあって、上げるのも下ろすのもスムースにできます。

メインシートは舵を持つ人が担当できる方が良い。という事はメインシートのトラベラーはステアリングの近くが良い。ヘルムスマンはメインシートも兼ねる。もうひとりはセールの上げ下ろし、ジェノアのトリミング、タック、ジェネカーの担当になります。これで、メインシートがキャビン天井にありますと、不便です。それに、ブーム後部で引くよりも、ブーム中央で引く場合は大きな力が必要になりますから、ウィンチが必要になります。その点、コクピット後部ならば片手でワンタッチで出し入れができます。しかもブローなどにも即座に対応できます。

ヘルムスマンは舵、バックステーアジャスター、メインシート&トラベラーの担当、クルーはジェノア、シート、バング、アウトホール、ジェネカーの担当。時々入れ替われば、全部経験できて、自分達で走らせているという感覚が面白い。ふたりで話し合って、ああでも無い、こうでも無い談義が、寛ぎの時にも自然に出ますね。エンジンで走って遠くに行く時も、できるだけセーリングをしたくなります。機帆走ですと、燃料の節約にもなります。

それでたまに誰かが乗せてくれと言いますね。そういう時も余裕です。担当のどれかを譲って、やってもらえば良いわけです。ふたりが良く解ってますから、どんな時にどうなのかの指示がきちんとできます。安全です。もちろんシングルハンドの方も同じです。

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