第三十五話 セーリングの薦め

人はそれぞれにいろんな趣味をお持ちです。ゴルフ、テニス、釣り、盆栽、陶芸、絵画、楽器、俳句、手芸、映画鑑賞、収集、写真、これらが何故永く続けていく事ができるのか?それも何故充実した面白さがあるのか?それはよりうまくなろうとして、より多くを知ろうとする。そして進化していく過程があり、それが面白いのではないでしょうか?基本的にはそれが好きだという動機が必要です。
その動機から出発して、永く続けるには、充実面白さが必要です。うまくなったら、面白いと感じます。もっともっとと思います。その過程では難しさを味わう事もある。それを何とか乗り越えるとまた、さらに面白くなります。ゆっくりしたスピードでも、少しづつ進化していきます。趣味は何でも構わない。でも、そこには進化が必要だと思います。

ヨットを別荘代わりに使っても、それだけでは進化はありません。別荘代わりに使うなら、その別荘で何かをしなければなりません。宴会して楽しいですが、そこに進化が無いと趣味というより、息抜きになります。それはそれでも良いのですが、楽しさはあっても、面白さはありません。ヨットで旅をするなら、どんどんあっちこっち行かなければ充実感はありません。めったに旅に出無いとしたら、それもやっぱり息抜きです。その時の楽しさはあるでしょうが、全体的にヨットをやるという充実感は無いのではと思います。それらは、充実感というより息抜き、趣味というよりたまの娯楽です。遊園地にたまに行くのと変わらない。それはそれで良いのでしょうが、

ヨットというのは結構重いものです。感覚的にです。たまにビデオ借りて来て鑑賞する程度の軽さはありません。ヨットを手に入れるというのは、ヨットやるか、やらないかという重い決断だと思います。つまりは、充実したヨットライフを手に入れたい、そういう思いがあるかと思います。一生懸命仕事して、その合間に、或いは、引退後の充実した人生の為に、息抜きは陸上で宴会ができます。趣向を凝らすなら、旅先で宴会もできます。その気になれば、海外だってできます。息抜きは走ってきた疲れの一休み、そしてまた走る為の一休みでもありますから、充実するは走る方にあります。ヨットは単に息抜きするには重過ぎるという感じがします。天候を調べ、風、波、もある。旅なら、ルート、行った先の事も調べる必要があります。

それで、ヨットを趣味として、進化を味わい、充実感を味わい、永く続けていくには、セーリングするか、旅を頻繁にするかしか無いと思います。そして、息抜きとして宴会でもすれば良いわけです。
そのうちのセーリングの方をお奨めしています。そこには進化がありますから、面白いからです。
進化ばかりでは疲れますから、息抜きもします。いつも真剣なら疲れますから、たまにはきれいな女性でも乗せてピクニックしたいとも思います。それで良い。セーリングが最も面白い事には変わりありませんから。

その面白いセーリングを核として、ヨットライフを造る。セーリングをいかに面白くするかでヨットを選び、艤装をする。でも、ヨットの余力はまだまだあって、宴会でも旅でも、別荘でも、ピクニックにでも使える。ただ、主体がどこにあるかの違いです。せっかくヨットを始めたのなら、この際、1シーズンでもそういう乗り方をやってみませんか?性に合わなかったら、また元に戻る自由もあります。
やって何も損はありません。ひょっとしたら、はまってしまうかもしれませんよ?

で、具体的にどうするかと言いますと、何か特別な事では無く、意識をセーリングに置くだけなんです。意識すると、より良いセーリングをしたくなります。それが始まりで、そのまま続けていくだけです。舵を持つ手に波を感じる。今までも同じでしょう。でも、意識すると鋭敏になります。セールカーブも気になります。そんな事を続けていくと、だんだん自分が進化している事に気付く。結構、うまくなったもんだと自分で感じると嬉しいじゃないですか。そしたら、また今度はこうしよう、ああしようというのが自分の中から出てくる。これが面白い。で、そのうち最高の走り、しびれるような感覚がきっと来ると思います。そうなったら、もうやめられませんね。

次へ       目次へ