第八十二話 Sail A Day, Cruise A Month

この言葉はアメリカのある造船所の言葉です。実際は、この後にEnjoy A Lifetimeという言葉が続きます。1日をセーリングして楽しみ、クルージングには1ヶ月、そうやって人生をずっと楽しむ。この言葉が表現していますように、クルージングとは本来、ロングな旅を楽しむものです。さすがに1ヶ月とは言いませんが、できるだけ長く、旅として楽しむのが目的です。

そしてセールとはセーリングするわけですが、それはデイセーラーその日の一日をセーリングそのものをいかにセーリングするかで、そこを楽しむ事になります。と言う事は、ロングで船旅を楽しむ場合、セーリングもするが、デイセーリングとは性質が違います。

時間があればクルージングを、でも日常はセーリングを、ここが基本的な使い方の違いになろうかと思います。デイセーリングでクルージングしていてはあまり面白く無いだろうし、クルージングでデイセーリングのようなセーリングをしていたら、何日も続くなら疲れます。つまり、用途によって、セーリングの仕方が違ってくる。そう使い分けないと、面白さも違ってくると思います。

今や、欧米ではクルージングの世界に加えて、セーリングの世界に注目し始めました。元々あった世界なのですが、ほんの一部の方々が小さなヨットで楽しんでいたのですが、競技では無い、セーリングの楽しみという事に目が向いてきました。つまり、レースでは無い、クルージングでは無い、セーリング、それで結局、デイセーラーという位置付けです。

従来の太い柱のようなマストから、フレキシブルなマストを使い、スタビリティーを高め、シングルの可能性を追求し、水線から上はクラシックでも、水線から以下はモダンなデザイン。高い帆走性能を求め、楽な操作ではあるが、従来のクルージング艇では追及しなかった高い帆走を求めています。それらはみんなセーリングを楽しむ為にあります。それは何も操作をしないのでは無く、操作自体は簡単にできるが、しようと思えばいろんな操作をして、遊ぶ事ができる。

日本ではCruise A Monthというのは、ちょっと難しい。ヨットを買う為に働く。すると時間が無い。引退したら体力が無い?このデイセーリングというコンセプトは日本の事情にピッタリなのです。
美しさには敏感な日本人、今のデイセーラーは実に美しい。寝泊りしない日本人、キャビンはそういう使い方には充分な設備です。時間が無い日本人、気軽にさっと出せて、クルーも不要です。かと言って、たまに家族やゲストを乗せるには充分広いコクピットを持っています。走れば、簡単操作でも快走できる。そしてハンドリングはシングルでも楽々、クルージングする暇無い方には、セーリングを多いに楽しみましょう。そして、Enjoy A Lifetime.

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