第七十一話 こだわる
| ヨットにはこだわってます。セールさえあれば何でも良いのかもしれませんが、やはりそこは遊びですから、どうやるのが最も面白さを引き出せるのかを考えます。それは万能ではありませんが、どこかを取る代わりに、どこかを妥協する。ですから、明確なコンセプトがあります。全てを取る事はできません。そんな事を試みると、全てがあいまいになってしまう。万能であってはいけないのです。自分が取る物が、自分が最も得たい部分です。それが明確であればある程、面白くなると思います。こだわったとしても、人と違うにしても、何も損はしないし、得る可能性は非常に高い。 それで商売でもしようというなら別ですが、自分が最も楽しむのが第一ですから、こだわる事は自分に正直である事と思っています。それにヨットにいくらこだわっても、誰にも迷惑をかけません。それどころか、自分が楽しいと思えたら、友人を乗せてあげたい、家族を乗せてあげたい、このグッドフィーリングを分かち合いたいと思うでしょう。それには自分がまずは経験する事が必要です。 自分が経験し、解る事が必要です。ヨットの何が面白いのかを。それが解ったら、それを他者にも分ける。充分これで役に立つ事になります。 キャビンでおもてなしも良いのですが、それよりヨットですから、セーリングの魅力を味わい、分かつ。その方が遥かに、ゲストも面白いはずです。そして、ゲストが自分でもしたいと思うなら、尚良いですね。その方へのアドバイスもできます。そうやってひとり、またひとりとセーリングファンが増える事を願っています。 みんなが同じ所にこだわる事は有り得ないと思いますが、自分のこだわり、それがもしキャビンライフなら、徹底的にそこにこだわり、キャビンライフの面白さを追求して、自分で味わい、その面白さを他の方々に伝えていただきたい。こだわる部分は自分に正直に何を望んでいるのかを見極めて、それを存分に楽しみ、そして分かつ。いろんな人が、いろんな部分にこだわり、楽しみ、それを他の方々に広げる。それで良いと思います。ですから、是非、こだわっていただきたいと思います。自分がたいして楽しんでいないなら、ゲストもそれ以上には楽しめない。まずは、自分が楽しむ事が重要かと思います。 自分が楽しんだだけでは、不十分です。それでは完結しません。完成しない。自分が味わった楽しさを、人と分ける事で、完成するのではないかと思います。それは新しい世界を見せる事になるし、その人に楽しさを分ける事、必ずしもその方が同じように感じるかどうかは解りませんが、それはその人次第ですから、こっちには責任はありません。でも、もし、その方が同じように楽しんでくれたら、こちらもこんなに楽しい事はありません。自分が面白いと感じた事に同調してくれると、嬉しいものです。ゲストが楽しいと、こっちも嬉しいのです。これで、ひとつ完成します。 そして、さらに先を行く。そしてまた誰かと分かつ。こうやって楽しい人をひとりづつ増やしていくと、自分の楽しさも増えてくると思うのですが。いかがでしょう。 |