第三十四話 求めるは美しさ

現代人に必要な事は心を動かす事ではないでしょうか。世の中便利で埋まってますが、どんなに便利になっても、感心する事はあっても、心は動かない。便利は良い事ですが、2倍便利になったら2倍する事が多くなる。それでもっと忙しくなります。ですから、心に何かをと求めてヨットなんかに興味が沸いてきます。

どんなヨットが良いか?と考えますと、いろんな理屈がありますが、理屈はさておいて、まずは美しいヨットを選ぶ事。これではないかと思います。美しさは心を動かします。機能がどんなに素晴らしくても、美しく無いヨットには魅力が無い。所詮、遊びですから、美しさから入っていって良いと思います。

美しいと感じるのは人によって異なりますから、自分が美しいと思うヨットが良い。クラシックもモダンも、機能美もある。それを気に入って、次は手入れした美しさもあるし、使い込んだ美しさもある。それで、大抵、自分が美しいと感じたヨットは自分に合ってると思います。

ただ、どんなに美しいと感じても、動かせないでは困りますので、動かせるヨットで美しいヨットという事にはなると思いますが。美しいと感じて、ほれ込んで乗りますと、どんなヨットでも完璧は無いので、宜しく無い部分も見えてくるでしょう。でも、そんな事は許せる範囲内になる。あばたも笑窪です。それで良いんだと思います。

美しさに比べれば、便利さなんてのはたいした事は無い。エアコンあるからと感心されますが、美しいヨットには感動さえします。そのうち、不便さえ自慢したくなります。

その美しいヨットを後生大事にとっておいたのではいけません。その美しさを見せびらかすように、今度は美しく乗りましょう。最初はぎこちなくても、そのうち慣れてきて、滑らかになってきます。美しいヨットを美しくセーリングする。ヨット遊びはこれに尽きる。ヨットはかっこよくなくてはいけません。

セーリングしたら、また美しく手入れをしていきます。それで、10年でも20年でも、そのヨットはいつまでも美しい。こんなヨットにはオーナーの心が見てとれますね。

ヨットにはいろいろありますが、要は、美しいヨットを美しく乗る。美しいヨットを手に入れる事はできますが、美しく乗るというのは、そう簡単な事ではないかもしれません。それには、何度も乗って、腕を磨いて、オーナーが心からセーリングを楽しんでいかないと、美しくはなりません。でも、誰でもその気さえあればできる事です。

オーナーが心から楽しんで、美しいヨットで、美しくセーリングしている姿ほど、カッコイイものは無い。ヨットとはそういう大人の乗り物ではないかと思います。

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