第九十七話 ピッタリのヨットを選ぶ方法

ファーストヨットの次にセカンドヨットを選ぶ。そのセカンドがあなたにピッタリです。セカンドと言っても、本当はファーストが無い。ファーストが無いセカンドとは、これいかに?

ヨットにどっぷりつかるのも良い。それだけヨットにのめりこんで頂けると嬉しい限りです。でも、一方で、どっぷりとはいかない。そこまではやれないという方々も多いはずです。天気の良い週末でも、オーナー不在のヨットは多い。ヨット以外にもする事がたくさんあるんです。それは仕事かもしれないし、親戚や近所のお付き合いかもしれないし、はたまた、他の趣味もあるかもしれません。人は何かと用事があるものです。

趣味はヨットでも、ヨットが全てという方以外、他の趣味だろうが、仕事だろうが、とにかくヨットばかりやってられないという人、そんな人はかなり多い。そういう人達に申し上げたいのは、気持ち的にヘビーなヨットはやめましょうという事です。いかにも世界一周でもできそうなヨットはヘビーです。大き過ぎるヨットもヘビー、ですから、気持ちが軽くなるように、そこで、あたかもファーストヨットはビッグボートを持っているかのように、そう仮定して、セカンドヨットを選ぶように、ヨットを見てはいかがでしょう。

ファーストボートにはいろんな要素を盛り込みたくなる。それが人情でしょう。遠くも行きたいし、できれば外洋にも行ってみたい。友人をたくさん招待して、クルージングに、宴会に、家族と一緒に
ゆったりクルージングすると家族も喜ぶかもしれない。それで、いろんな事ができそうなヨットを選びます。そういうやさしい気持ちがヨット選びを迷わせる。それが失敗の元です。友人も家族も、あなたが日常で維持したり、動かすのに、どんな苦労をしているかは、お構いなしなのです。ですから、大きなヨットはそういう時にしか活躍しなくなる。それだけでは無く、日常は動かせ無くなる。

でも、ここでセカンドヨットを選ぶとしたら、随分気楽です。何でもかんでもできる必要が無い。ある特定の、最も面白そうなコンセプトに集中できます。我侭で良い事になります。自分が面白ければ良い。他は適当でも良いんです。どうです?気楽でしょう?それで選んだヨットはどんなヨットでしょうか。

もし、ビッグなファーストボートとここで選んだセカンドボート、どっちが使う頻度が多くなるでしょうか。多分、セカンドだと思います。何故なら、気軽である事、自分のコンセプトを打ち出している事、ですから面白いという事、この上ないはずです。

いろんな趣味を持つ方、忙しい方、決まったクルーが居ない方、家族もあまり来ない方、彼女と二人で出たい方、スポーツしたい方、セーリングしたい方、遠くへ行く暇無い方、行きたくも無い方、セーリングを探求したい方、本当のセーリングを味わいたい方、美しいヨットを好きな方、人とは違う事にためらいが無い方、個性のある方、一人でも何でもできる方、etc.................

そういう方々にはシングルハンドをデイセーリングで縦横無尽に乗り回すというセーリングがうってつけです。セカンドヨットなら、こういうヨットを選ぼうとされるでしょう。遊ぶ、面白い、そういう乗り方には無難なファーストボートは合わないんです。ヨットが日本中に受け入れられて、誰も彼もヨットに乗るようになると、家族もしょっちゅう来るようになると、そうは行きません。車のようにセダンが必要かもしれません。でも、日本の現状を見ますと、そうはならない。日本が豊かになったとはいえ、2艇のヨットを持つ事はなかなかできるものではありません。それで、ファーストボートのみになる。でも、ファーストボートは使い勝手がありそうで、そうでは無い。で、提案はセカンドヨットのつもりでヨットを選ぶ。すると自分の個性、好み、希望、そういった物がストレートに出る。他の余計な事を考慮しなくて良い。ですから、自分にピッタリあったヨットを選ぶ事ができる。

それで、家族が来るような事が、年に1回か2回ぐらいあったとしても、全く問題無い。どんなヨットだって、一人乗りなんてヨットはありませんし、キャビンもある。充分です。自分に合ったぴったりのヨットを選ぶ方法は、セカンドボートにはどんなヨットが良いか、そう考えて選ぶ。それがあなたにとって、ピッタリのファーストボートになる。そうしたら、だれも来ない日常でも、楽に遊ぶ事ができます。メインテナンスも楽ですから、たいては自分で、しかも楽しみながらできます。日常で楽しみ、ヨットはいつもきれい、それでゲストが来ても、これまた楽し。全て、丸く収まるというすんぽうです。

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