第八十九話  ビッグデイセーラー

ここまでやるか?そんな感じもしますが、M36というシングルハンドデイセーラーを出して、それに成功し、M42をこの間建造を開始したかと思えば、さらに今度はM52と来た。コンセプトはみんな同じデイセーリングなのです。M36ならシングルも可能かもしれないが、同じコンセプトとはいえ
M42、さらにM52となるとシングルの域を超えている。もはやここまで来るとシングルハンドとは言わないが、装備はコクピットの舵を持ったまま全ての操作が可能ときた。ウィンチは油圧式、ブームファーラー、それにセルフタッキングジブです。コンセプトはデイセーラーのまま。

 アメリカという国は一体どう
 なっているのか、ここまでや るか、そんな感じもします。

 そこで、ちょっと考えて見ま すと、もうひとつの側面が見 えてきます。それは、新たな
 クルージングの有り方の提 案です。M36を出して、シン グルハンドを可能にしたデイ セーラーを発表した。その  時、大いなる賛同を受け、  成功、続いて、M42を出し  た。コンセプトも全く同じなの ですから、シングルハンド/
 デイセーラーであった。でも 、ちょっと違った反応であっ た。このサイズをシングルで 乗るかどうかは別にして、こ こまで来るとデイセーラーを 越して、気軽にコースタルの
 セーリングまでこなす事がで きる。それにシングル想定  は、都合が良かった。舵を  持つ間に電動ウィンチでセ  ールを上げられるし、トリミ  ングも楽々、ヨットを知らな  い仲間が居ても気にする事
 は無い。イージーハンドリン グで気軽にセーリングが堪 能できる。外に出れば、電  動ウィンチの力を借りれば、
 シングルでの操作も簡単に 出来る。それにデイセーリン グからコースタルまでカバー
 できる。もちろん外洋なんて 考える必要は無い。高いス タビリティーを維持しつつ、  美しいスタイリングも維持し つつ、42フィートあれば、そ こそこの居住性もある。居  住性については、そこそこで も良いわけです。
シングルハンド/デイセーリングをそのままでかくして、電動や油圧を使う事によって、大きなサイズでも簡単操作にする。それでも、デイセーリングからコースタル程度を基本にして考える。これまではでかいヨットになると外洋としてきた。しかし、それをデイセーラーの延長とする事によって、シンプルな艤装にする事によって、もっと気軽にセーリングが可能となる。

もはやハードな乗り方を想定せずに、気軽に乗れるヨット、言うならば、デイセーラーの延長程度を想定している。これが52フィートとなると、もっと遠くへと考えるかもしれないが、そうでは無く、それでもデイセーラーの延長線上にある。ハードな乗り方はしないにしても、抜群のスタビリティーがあり、その為シングルをも可能にするし艤装もそうなっている。これぐらいになるとシングルでは出無いでしょう。でも、シングル艤装になっている所が良いわけです。

大きなキャビンは要らない。それよりスタビリティーが高い方が楽に乗れる。デイセーリングからちょこっとコースタルで、気軽に、自由自在に遊べる。大きなセールも電動ウィンチで楽に操作できる。美しいスタイリングもキープしながら、そんな感じでしょうか。52フィートのデイセーラーは一体何者なのか?キャビンヨットからセーリングヨットへの変化、ヨットに住まない限り、大きすぎるキャビンは邪魔でしかない。クルーも必要とせずに、それでもセーリングを楽に楽しむ為に、そんなコンセプトが見えてくる。

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